不動産投資はサラリーマン所得と損益通算ができる    

不動産投資

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サラリーマンが不動産投資を行うメリットの一つに、サラリーマンとして得られた給与所得と、不動産所得を損益通算し、節税できる点があります。

では、具体的に、どの程度の節税が可能なのか、損益通算の仕組みなどを節税効果とともに見ていきたいと思います。

1.不動産所得の損益通算とは

不動産投資をして得られた所得は、不動産所得になります。国税庁のウェブサイトによると、所得にもいくつかの種類があります。一般的に会社勤務やパート勤務などで得られた所得は、給与所得です。所得とは給料から経費を引いた金額ですので、給料の支給額そのものを指しません。

そして、投資などによって得られた所得にも、様々な種類があります。株投資やFX投資などによって得られた所得、その他の先物取引に関係する投資によって得られた所得は、すべて雑所得となります。

不動産所得に該当する所得は、給与所得と合算の上、最終的に納税額が決まるのです。このことを『損益通算』と言います。

2.損益通算でどのような税金が還ってくるのか

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損益通算は、給与所得と不動産所得の額を合わせる形で最終的に所得を確定させ、所得税額を決定する仕組みです。この二つの所得を合わせた額が給与所得の額より少なければ、給与(給料)から源泉徴収された住民税と所得税の還付を受けることができます。

一般的に住民税は所得の10%相当分、所得税は所得の金額に応じた累進課税で徐々に税率が上がります。

所得税率は以下のような仕組みになっています。

課税される所得金額 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円を超え 330万円以下 10% 97,500円
330万円を超え 695万円以下 20% 427,500円
695万円を超え 900万円以下 23% 636,000円
900万円を超え 1,800万円以下 33% 1,536,000円
1,800万円を超え4,000万円以下 40% 2,796,000円
4,000万円超 45% 4,796,000円

例えば、給与所得が700万円の人の所得税率は23%です。

700万円の人の所得税額を単純に計算すると、以下のようになります。

7,000,000円×23%=1,610,000円
1,610,000円-636,000(控除額)円=974,000円

そこに不動産所得を合わせると、どうなるでしょうか。不動産事業では物件を購入した初年度は課税される税金の種類が多く、赤字が発生しやすいです。また、投資目的の不動産を持っている場合、購入直後は入居者がいないため、収入も思ったように伸びないことが多いのです。そこで、給与所得700万円、不動産所得がマイナス100万円だったと仮定します。

そうすると、700万円から100万円を引き、最終的な給与所得の額は600万円になります。

その場合の所得税は、

6,000,000円×20%=1,200,000円
1,200,000円-427,500円=772,500円

先のケースと比べて201,500円も節税できます。また、所得が100万円少なくなった結果、10%分の住民税、つまり、10万円が戻ってきます。結果的に301,500円もの節税になりました。

また、不動産所得は『減価償却』という経費を計上できるため、現金の支出を伴わずに赤字を計上することができます。つまり、減価償却は不動産所得を減らし、節税で数々の恩恵を受けるのに欠かせない必要経費なのです。そのため、減価償却が可能な期間(残存期間)に注意して不動産物件を購入する必要があります。

3.青色申告を行えば節税効果が増す

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節税効果を大きくするには、確定申告の際に通常の白色申告ではなく、『青色申告』で行うことも重要です。白色申告とは違い、青色申告には様々なメリットがあります。

3-1.青色申告は最大65万円の控除が受けられる

青色申告の最大のメリットは、最大で65万円の控除が受けられることです。例えば、先ほどの給与所得700万円、不動産所得がマイナス100万円の場合、そこに青色申告65万円の控除額を差し引くことで、年間の所得を535万円に減らすことができます。住民税は65,000円、所得税も13万円ほど減らせるのです。

3-2.損失の繰越も可能

また、もう一つ、青色申告のポイントとして、損失が発生した場合の繰り越しが可能な点も挙げられます。不動産は1年目から2年目の間、登録免許税や不動産取得税の支払いがあるため、赤字が発生しやすいです。ただし、3年目、4年目になると収入も増え、利益が発生することが多いです。もちろん、それ自体は悪いことではないのですが、給与所得との損益通算による節税に期待が持てなくなってしまいます。

そこで、購入年度1年目から2年目までの損失を最高で3年間繰り越すことで、毎年の不動産所得を平均化します。帳簿上で利益を少なくすることで、毎年納める税額を減らすことができるのです。

ケースとしては以下のような感じになります。

・1年目の不動産所得 -100万  給与所得 500万  最終的な所得 400万
・2年目の不動産所得 -50万   給与所得 500万  最終的な所得 450万
・3年目の不動産所得 +50万   給与所得 500万  最終的な所得 550万

・1年目の不動産所得 -33万 給与所得 500万 最終的な所得 467万
・2年目の不動産所得 -33万 給与所得 500万 最終的な所得 467万
・3年目の不動産所得 -33万 給与所得 500万  最終的な所得 467万

3-3青色申告で65万円の控除効果を得るには、一定の事業規模を有することが必要

青色申告で65万円の控除を受けるには、手続きをいくつか踏む必要があります。

まず、青色申告事業者であることを届け出なければいけません。これは例年2月16日から3月15日までに行う必要があります。もしくは、個人事業主の届出を出してから2ヶ月以内に行います。

そして、不動産所得の場合、事業規模として認められるには一定の条件があります。5棟の物件を所有する、部屋の数が10以上の一棟物件を所有する、などが求められます。

そして、青色申告を行う場合、複式簿記でやや複雑な手順の帳簿を作成しなければいけません。会計ソフトを使うことで手順も大幅に簡略化できます。

事業規模に到達してない不動産投資の場合、節税効果は10万円になってしまいます。

4.不動産投資は相続税対策にも有効

また、不動産投資は、給与所得に対する節税効果があるだけではなく、相続税対策にも非常に有効なのです。なぜ、相続税対策に有効なのか、一つずつ見ていきましょう。

4-1.現金を不動産に変えると、相続税評価額が下がる

不動産の価値は建物の築年数や市況の影響を受けて変化するため、相続税としての評価額は現金よりも低くなります。相続税の計算に使われるのは、『相続税評価額』です。この相続税評価額は毎年見直されますが、一般的な不動産市場における売買の相場から、7~8割程度に抑えられています。

仮に1億円の現金を不動産に換えてしまえば、相続税評価額は7,000万円程度になります。不動産で土地の所有分が少ないマンションを買えば、さらに下がります。

もう一つの軽減措置として、自宅用ではない賃貸用の物件は、所有者が自由に使う権利を有していないため、『借家権割合』という計算が盛り込まれます。借家に出していれば、相続税評価額は30%にまで低くなり、節税効果が生まれます。

建物の固定資産税評価額は、賃貸に出すだけで3割程度に下がるのです。現金を不動産に換え、さらに賃貸に出せば、相続税評価額を半分以下に抑えることができ、節税することも不可能ではありません。

4-2.賃貸に出すことで、さらに評価額が下がる

土地には、他にも節税効果があります。それは『小規模住宅地評価額の特例』です。この制度により、最大400平方メートルまでの住宅用地は、相続税評価額が80%も減少します。個人が自宅や事業用に使っていた土地であれば、この特例を利用した節税が可能です。

また、賃貸に出している土地には『貸付事業用宅地等』という制度が適用され、200平方メートル未満の広さであれば、相続税評価額が50%も下がります。

まとめ

不動産投資には様々な節税効果があり、給与所得だけではなく、将来の相続税まで及びます。ただし、先を見据えた不動産投資を行うには、資産価値が下落しにくい物件を見据えて投資するように気をつけましょう。

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