不動産投資用物件を購入するには、一般的な中古物件情報サイトをチェックすることは必要ですが、中古物件情報サイトに載らないような物件情報を手に入れることも必要です。
一般的に不動産物件が市場に出回る前に、売主から物件の売却を委託された不動産業者は、自社の顧客の中で買主を探そうとします。そこで買主が見つからなかった物件が、一般の不動産物件情報サイトに乗ることが多いのです。
そういった市場に出てくる前の不動産物件情報を探すにはどうしたら良いのか、ここではお伝えします。
1.格安物件にはどのようなものがある
一般の不動産情報サイトに掲載される物件は、物件情報を仕入れた不動産業者が自分たちで売り捌けなかったものばかりになります。つまり、『本当にお得な物件は、不動産情報サイトなどに掲載される前の段階で売れてしまう』ということなのです。そういったお得な情報には、どのような種類のものがあるのでしょうか。
1-1.レインズに掲載される前の物件
不動産業者は、仕入れた情報をレインズという情報ネットワークサイトに掲載する義務があります。これは不動産関係の仕事を取り扱っている業者のみが閲覧できるサイトであり、そこに情報を掲載することで幅広く買主を探して行くのです。
不動産業者は売却希望者と専任媒介契約・専属専任媒介契約を結んだとき、レインズに物件情報を掲載しなくてはいけません。
しかし、本当に条件の良い物件は、レインズに物件を掲載する前に売れてしまうことが多いのです。例えば不動産業者が利回り12%という物件情報を仕入れたら、普段から付き合いのある不動産投資家にその情報を流したとします。不動産投資家は、『他の人間がその情報を知る前に、ぜひとも自分に売ってくれ』と言ってくるものです。不動産会社も手間がかからないので、すぐに得意先である投資家に売ります。
レインズに掲載される前の物件こそ、良い条件の物件が揃っているのです。
1-2.競売物件
住宅ローンの返済ができなくなった人間の物件を裁判所が公に売却するのが競売です。競売物件には、格安で不動産物件を購入できるチャンスが眠っています。競売は入札制度になっていて、最低入札金額が決まっています。最低入札可能金額は不動産鑑定士が不動産相場を見ながら、相場の6割から7割になるように設定しています。つまり、自分以外に入札希望者が現れなかった場合、市場相場の6割から7割という非常に安い値段で不動産物件を購入できるという、絶好のチャンスにめぐり合えるのです。
ただし、人気が高そうな物件は他の入札者も目をつけるもの。入札者が複数発生する物件は市場価格に近い価格でしか購入できないこともあります。また、購入後の引渡しは不動産業者が仲介するわけではありませんので、自分で前の持ち主の立ち退きに立ち会ったり、書類関係の受け渡しなどを行ったりする手間があります。
1-3.任意売却物件
競売に至る前の段階で、住宅ローンの返済が出来なくなった人間が行うのが任意売却です。任意売却はローンを返済できなくなった債務者が、金融機関と相談のうえ、住宅を売却して残債を少しずつ減らしていく手続きを行います。
任意売却でも住宅の売却は必須です。任意売却であれば、市場よりも1割程度安い価格で不動産を購入できるチャンスがあります。債務者としても一定のタイミングで自分の物件を売る必要があるため、売却までには時間的な制限が加わることが多く、その分安く売られるのです。
ただし、住宅ローンの返済を兼ねなければいけませんから、購入に際して最低購入価格が設定されていることが多いです。競売ほど低価格で不動産物件を購入できるわけではないのです。いっぽうで、購入の流れは普通の不動産の購入と変わらず、競売のようなリスクはありません。
2.レインズに掲載される前の物件の探し方
ではレインズに掲載される前の物件情報を手に入れるには、どのようにすれば良いのでしょうか。
2-1.不動産会社とつながりを持っておく
最も重要なのは、不動産会社と普段からつながりを持っておくことです。不動産会社に「これくらいの資金だったら自分で用意できる」「この程度の予算で、こういった投資用物件を探している」などの情報を伝えておけば、その条件に合致した物件が出てきたとき、優先的に物件情報を教えるでしょう。
ただし、あなたが十分な利益を不動産会社に提供しなければ、貴重な物件情報を教えるはずがありません。自分が本気で物件を探していることを伝え、情報次第で間違いなく購入することを約束しましょう。なによりも誠意ある行動が求められます。
複数の不動産会社にひと通り、「こんな物件情報だったら教えてくれ」と、声をかけただけではおそらく不十分でしょう。不動産会社は「この人は本気ではないな」と判断し、物件情報を隠すことがあります。
複数社の信頼できる不動産会社に絞って、密に連絡を取り合っていくようにしましょう。
3.任意売却物件や競売物件の探し方
任意売却物件や競売物件はどのように探せばよいでしょうか。
3-1.金融機関にパイプを持つ
任意売却物件は、債権者である金融機関と債務者である住宅ローンの返済者の二者間で話し合いが行われたあと、物件の売却が行われます。つまり、金融機関には任意売却を行いたい旨の債務者からの相談が多く入っているのです。
普段から投資用物件の融資などで金融機関とつながりを持っていれば、金融機関の担当者から以下のような話が聞けることがあります。
「今、任意売却を希望するお客さんが当行に現れて、こういった物件を売りたいと言っています」
3-2.税理士や弁護士が任意売却や競売の処分を行うのでつながりを持つ
また、任意売却物件の処分に当たっては、税理士や弁護士が間に入ることもあります。住宅ローンを返済できない債務者は、税金の滞納や離婚協議を行っていることもあり、そういったトラブルの解決に税理士や弁護士を利用していることが多いのです。
特に多いのが離婚の際の財産分与に関する任意売却です。
「離婚したいが、住宅ローンが残っている。だから、住宅を売ることができない。そこで任意売却を利用して、残債をうまく返済できるプランを立ててほしい」という相談が、弁護士や税理士に入っているのです。そういった離婚問題について詳しい弁護士とパイプを持っておけば、任意売却物件の情報が伝えられることがあります。
3-3.任意売却や競売専門のサイトを使う
また、任意売却や競売に関する専門的なサイトもあります。
年会費などを支払えば、過去の競売物件の情報などを競売専門サイトで閲覧することができるようになります。また、どの程度の入札額かを予測することもできます。自分の求める条件に合致した競売物件が売りに出されたとき、メールから伝えられる機能もありますので、効率の良い競売物件の情報収集が可能です。
任意売却物件の情報収集は、任意売却による不動産トラブルの解決を得意とするサイトに連絡を取り合って状況を把握しておきましょう。運が良ければ、「今、こうこうこういう理由で任意売却を行いたい人がいるから、物件を買い取ってくれないか」などの話が持ちかけられることがあります。また、メールマガジンを発行しているのであれば、会員登録しておきましょう。任意売却物件が出たとき、先んじて情報を仕入れることができます。ひいては格安で物件が購入できるチャンスにもつながります。
まとめ
不動産投資で成功を収めるためには、良い物件の情報を手に入れることが何よりも重要です。一般的な情報の下流にある不動産物件情報サイトだけではなく、できるだけ情報の上流、つまり売りたいという人から直接物件を仕入れられるような環境を、持っておきましょう。