ワンルームマンションに今でも融資がつく理由

不動産投資

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2017年から2018年にかけて全国各地の金融機関で、個人不動産投資家に対する不正融資問題が発覚しました。スルガ銀行では個人向け融資を行う際に、個人の属性の改ざんなどが行われ、本来であれば融資対象としてふさわしくない投資家に多額のお金を融資していたのです。

そして、西京銀行や西武信用金庫でも、似たような事例がありました。これらの事態を重く見た金融庁は、個人投資家向けの融資を抑制するように各金融機関に通達。現在では、通達の効果で個人投資家にとって不動産投資用資金の融資が付きにくくなっています。

しかし、そのような状況下であっても、都心のワンルームマンションへの融資は比較的付きやすくなっています。では、なぜ、ワンルームマンションに依然として融資がつくのでしょうか。

今回はワンルームマンションに融資が付く3つの理由をお伝えします。

ワンルームマンションは、家族向けや一棟物件よりも需要が高い

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まずは都心のワンルームマンションの需要の高さが、融資の可否に影響しています。賃貸の需要が高い物件は空室のリスクが少なく、金融機関へのローンの返済も滞りにくいのです。そのため、金融機関側はリスクが少ないと見て、積極的にワンルームマンションに融資するのです。

都内の単身者世帯は2050年でも今と同等の水準

では、ワンルームマンションの需要は、どの程度あるのでしょうか。ワンルームマンションに需要があるといっても、日本全国どこでもというわけではありません。

ワンルームマンションに住む人間は、基本的には学生や若者といった単身者です。そのような単身者世帯が多いエリアで旺盛な需要が生まれています。

代表格が東京都23区内の都心部です。現在の日本では少子・高齢化の進行により、若者の数が大幅に減少しています。

そのため、エリアによっては単身者世帯がほとんど存在せず、単身者向けのアパートやマンションへの需要がないエリアも増えているのです。

しかし、東京都が発表している資料によれば、都心は大学の都心回帰傾向などによって単身者の人口が増加し、2020年と2050年の単身者世帯数はほぼ同数です。

2040年頃までの単身者世帯は緩やかな増加傾向にあり、そこから徐々に減少していきます。現在と同様に30年後も需要があるのです。

そのため、単身者向けワンルームマンションに需要があるため、今後も安定した経営が見込めます。リスクの低さから、金融機関も融資するのです。

単身者世帯は未婚化で増加していく

今後は人口が減少するとしても、必ずしも単身者世帯が大幅に減るわけではありません。何故ならば、日本人の未婚化が進行しているからです。

近い将来、女性の1/4が、男性に至っては1/3が生涯未婚になるとも言われています。未婚者の場合、ファミリー向けの戸建て物件やマンションを購入することはなく、アパートやマンションの中でも単身者向けのワンルームや1Kの物件を借ります。

さらには、高齢者の単身者世帯も増加しています。結婚していた夫婦が配偶者と死別し、単身者として生活せざるを得ない状況も増えていくでしょう。

未婚化と高齢化社会。2つの社会問題が同時進行することで、単身者世帯は今後もさらに増えていくと見込まれているのです。

東京23区内の人口は、まだ増加する

東京23区内の人口動向も、注目すべきポイントです。東京の出生率自体は低いのですが、付近の自治体からの人口流入が進んでいるため、23区内であれば今後10年は人口が増加していくとみられています。

人間は仕事とモノと金のある所に集まるものです。今後地方の人口が著しく減少する中で、東京の人口だけが増えてもおかしくはありません。

そういったポイントを踏まえると、東京都内のワンルームマンションの需要は今後も高いものがあり、長期間にわたって安定した運営が可能です。

それゆえに、金融機関も積極的に融資するのです。

マンションは住宅としての品質が担保されている

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次のポイントは、住宅として見た場合のワンルームマンションの品質の高さです。マンションを運営するときは長期間の運営が前提になります。運営期間中に住宅としての需要があり、また、居住者に高い居住性を提供できなければ、すぐに空室が発生してしまいます。

アパートや戸建ては個人の施工が多く、品質が不安定

アパートや戸建ての賃貸物件は多数ありますが、アパートや戸建て物件の多くは、個人投資家や個人によって施工されたものです。

建設のプロではない人間が手掛けた住宅は、質が安定していないものが多い傾向にあります。特に戸建て物件の場合は様々な素材を使っています。品質の良い住宅も中にはありますが、安い素材だけを使った低品質な建売住宅や瑕疵のある住宅が多いのです。

アパートも木造物件ですから、建築時の品質が良くても、築20年もすれば居住性や外観に劣化などが生じます。そのため、金融機関は劣化が起こりやすいものと看做(みな)し、積極的に木造のアパートや戸建てに融資しないのです。

マンションは不動産会社が開発するものが多く品質が安定

アパートや戸建は個人発注による施工が多いのですが、一棟マンションでは建築に必要な資金が多くなるため、不動産開発会社の施行が多くなります。

そのような専門の不動産会社の施工物件は、しっかりとしたマーケティングや建築ノウハウを基に造られています。長期間利用できる住宅に必要な設備や居住性能を備えたものばかりです。

建物もRC造ですから、劣化しにくい住宅として一定の品質が担保されています。

それゆえに、長期間に渡って安定した居住性能が確保され、賃貸の需要が見込めるのです。

購入に必要な費用が少なくて済む

また当然ながら、ワンルームマンションはファミリー向けの広いマンションの部屋や一棟アパートよりも価格が安いです。価格の安さは、金融機関にとって融資リスクの軽減につながります。

融資を受ける金額が少額なので貸しやすい

都内の単身者向けワンルームマンションで安いものは1,000万円前後、中央区などの一等地の物件価格は3,000~4,000万円といったところでしょう。中古であれば、さらに価格は下がります。

不動産物件の価格は広さに比例するため、単身者向けワンルームマンションの3倍の広さを持つファミリー向け物件の価格は3倍に上がります。それだけファミリー向け物件の購入では、より多くの資金を必要とするのです。

貸す側も、慎重に融資の可否を考えなければいけません。

例えば、万が一にも貸し倒れが発生して、担保を売却した時に8割の価格で売れたとしましょう。

2,000万円の融資であれば、金融機関の損失額は400万円です。

しかし、6,000万円の融資時の損失額は1,200万円です。

単純に融資の額が少なければ少ないほど、融資は下りやすいのです。

物件価格が安いので出口戦略を取りやすい

また、物件が安ければ買いやすいだけではなく、売りたくなった時に売りやすい一面があります。たとえ品質や立地が良くても価値が数億円の物件では、購入できる人間が限られるため、現金化にどうしても時間がかかります。

しかし、2,000万円前後の物件であれば、購入できる人は増えます。売りやすく、出口戦略も立てやすいのです。

いざという時の売却や処分が簡単であること。

単身者向けマンションへの融資が、まだまだ多い理由の一つです。

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