東京23区の東側の物件を買っても大丈夫?その災害対策

不動産投資

サムネイル

2019年、猛烈な勢力の台風15号と19号が、千葉県を中心とする関東地方を襲いました。被害が甚大かつ大規模な範囲に及び、死者も多数発生したことは記憶に新しいところです。

東京都内ではそれほど大きな被害は発生しませんでしたが、それでも今後、同じ規模の台風が増加すれば、本腰を入れて災害に備える必要があります。

東京都23区でも特に江戸川区や荒川区、江東区などの東部エリアは、海抜が低く、浸水や洪水の被害を真剣に考えなければいけません。

つきましては、このようなエリアの物件を買う時はどのような点に留意すれば良いのか、そして、防災について具体的にどのような対策を取れば良いのか、お伝えしたいと思います。

ハザードマップでは浸水被害の発生率が非常に高い

イメージ画像

まず、災害対策を考えるうえで必ず見ておきたいのが、国が発表しているハザードマップです。ハザードとは危険という意味に他なりません。ハザードマップには、地図上の各エリアで過去に発生した災害と規模の一切が記されています。例えば大雨による浸水や洪水、地震による土砂崩れなど、人間の手ではコントロールできない過去の自然災害が克明に刻まれているのです。

江戸川区の大半の地域で浸水の可能性

これまでは住宅を購入する時にハザードマップを気にかける人は、それほどいなかったかもしれません。特に関東地方は降雪が少なく、ここ数十年は大規模な台風による被害は出なかったため、居住用住宅や投資用不動産の購入時に災害と備えを十分に意識することはなかったように思います。

しかし、そのような状況に一石を投じたのが、まさに2019年に発生した2つの台風だったと言えます。

関東地方に台風が直撃すれば、人口密度から考えて被害が甚大かつ大規模に及ぶこと、そして、多くのエリアで洪水や浸水、強風などの自然災害が発生することを肝に銘じなければいけません。実際に多くの不動産投資家が強風や浸水の被害を受けました。

さらに、東京都が2018年に発表した浸水シミュレーションでは、930ヘクトパスカルの超大型台風が来れば、江戸川区の大半が浸水してしまうというショッキングな結果が発表されました。

まずはそのような災害時に起こり得る最大のリスクを知っておくべきです。

対策は中層程度のマンションを買うこと

では、東部エリアで投資用物件を購入する場合、どのような物件を購入すれば良いのでしょうか。

浸水対策はそれほど難しいものではありません。物件の1階は浸水する可能性が高いですが、3階以上であれば、天井以外の浸水は起こりません。

そのため、3階~8階程度の中層階にある物件を購入すると良いでしょう。

ベランダから溜まった水が部屋の中に入ってきたり、上の階から水が漏れたりする被害が想定されますが、基本的に床下以外からの浸水は稀です。

では、10階以上の高層階マンションを買えば良いのかと言えば、そういうわけでもありません。

台風によって武蔵小杉のタワーマンションで停電が発生し、マンション全体の機能が麻痺しました。停電によってエレベーターが停止した場合、高層階での生活は大変不便なものになります。

しかし、3~7階程度の部屋であれば、エレベーターが停止しても、それほど大きな問題にはなりません。中・小規模のマンションであれば、インフラ面の回復も早いものです。

逆に大規模な物件の場合、一度被害を受けると回復までに時間を要します。

そういった復帰までのタイムロスを計算に入れるのでしたら、中規模程度のマンション内で3階以上にある部屋を買うと良いでしょう。

想定される地震の被害も要チェック

イメージ画像2

もちろん台風だけではなく、地震も想定するべき自然災害の1つです。直下型の地震が、いつ関東で発生してもおかしくないと言われる昨今、地震保険に入っておくことはもちろんですが、地震に強い地盤の高台や切土の台地に物件を購入することが何よりの対策になります。

都内でもエリアによって発生する被害やリスクの度合いが違う

もし、都内で震度7クラスの直下型地震が発生したとしても、現代のマンションはそれほど被害を受けないとされています。

しかし、タワマンや大型のビルが建つ都心では、災害に遭った人が帰宅困難になるなど、建物とは別の被害が発生します。

つまり、同じ東京23区内でも、地震が起きた場合の被害はエリアによって異なるのです。

下町エリアは住宅密集地域で火災や倒壊の可能性が高い

東京東部の墨田区や荒川区、江戸川区などは、いわゆる下町と呼ばれます。

そういった場所で地震が起きた場合の被害で想定されるのは 建物の倒壊や火災です。

同エリアには昔から住んでいる人が多く、住宅が密集しています。そのうえ、再建築不可物件が多数建てられています。 住宅間のスペースに余裕がないため、一度の火災で火が燃え広がりやすく、しかも、木造物件が中心ですので大きな地震時に倒壊するおそれがあります。

地震の発生時に被害が大きくなりかねないため、所有する建物を失った場合の対策を講じる必要があります。

対策は周辺の住宅環境に気を配ること

所有する建物が倒壊して喪失することは、投資家にとって致命傷になります。特に再建築不可物件を所有していた場合、建物がなくなれば資産価値はほぼゼロになってしまうでしょう。

そこで、物件の購入時にしっかりとチェックしておくべきは、やはり、周辺の住宅環境です。

特に住宅街の中で戸建て物件を買う時は、あまりにも住宅が密集していないか、消防車などの大型車が十分通れる場所に建っているか、周辺の建物の構造はどうなっているかなどをチェックしておきましょう。

木造物件が密集するエリアでは、火災時に延焼する可能性が非常に高く、被害も拡大します。よほどの格安物件でもない限りは購入しないほうが無難でしょう。

集客のために、避難場所の案内や建物内で防災対策をしている物件の購入を検討

既にそのような場所に物件を所有している方は、今後入居者が減るおそれがあります。

では、入居率アップのためにどのような対策を取るべきでしょうか。

まず、考えられるのは災害に備え、入居時に避難場所などの案内を自分で作っておくことです。 自治体が定めた避難場所を示した地図を入れたり、自治体の災害時の支援策をまとめたファイルを渡したりと、入居者が万が一の時にどうすれば良いのか、安心して生活できるだけの対策を立てるのです。

一人暮らしの人は、上京してきたばかりということも多いです。

災害時には右も左も分からず、どうすれば良いのか迷ってしまうこともあるでしょう。そんな時の手引きを作っていれば、入居者も安心してあなたの部屋に住むでしょう。

また、物資などの防災対策も客付けに役立ちます。区分マンションを購入すれば、マンション側で水や食料、発電機など、非常時向けの防災グッズを用意していることもあります。

個人で建てたアパートでも、そのような災害時の物資を用意しておくことで、入居者が安心して住めるようになります。マンションを購入した場合は、防災対策を管理組合に提案しても良いでしょうし、アパートを所有しているときは、アパートに物資や資材の備蓄スペースを作っておきます。

「いざという時はこれを使ってください」と事前に伝えておくことで、入居者の心象は良くなるでしょう。

そのような地道な心遣いの積み重ねが、入居率の維持にもつながっていくのです。

関連記事

カテゴリー

アーカイブ