人気のある賃貸用不動産の種類の1つに、ペット飼育可能物件があります。
一般的な賃貸物件ではマンションの部屋に傷がついたり、匂いが付いたりするので、ペットの飼育が禁止されていることが多いです。
しかし、ペットを飼育する人が増えているのもまた、事実。
そこで、猫や小型犬、うさぎなどのペットの飼育が可能である物件の需要が出ているのです。
ここでは、入居側だけではなく、賃貸物件の運営側にとっても、ペット飼育可能物件にはどのようなメリットがあるのか、具体的にお伝えします。
1.ペット好きな人に訴求力がある
ペット飼育可能物件の最大の魅力は、ペット好きな人に住んでもらえることです。
ペット業界の調査などによれば、近年、ペットを飼育する人が増えているとの報告が上がっています。
大型犬はファミリー層に根強い需要がありますが、1人暮らしの人には小型犬や猫、うさぎやフィレットといった小さな動物の需要が高まっています。
同時に、今の日本は晩婚化や非婚化により、単身者世帯の数が増えています。
そこで、家族の代わりにペットを飼育して生活したいという単身者の数が、うなぎ上りに増えているのです。
しかし、家賃が低めのアパートやマンションでは、ペットは敬遠されがちです。賃貸契約を結ぶときに『ペットの飼育はできません』などの条項が盛り込まれていることが多いでしょう。
なぜ、ペットが禁止されているのか、それは、ペットにより部屋の美観や機能が損なわれてしまうからです。
ペットを飼育する際は、必ず糞尿の処理の問題が生じます。
それほど大きくない動物でも、糞尿の臭いが部屋中に充満すれば、壁紙や床に染み付いてしまうことがあるのです。
クリーニングをして臭いを取り除こうとしても、簡単に取り除けるものではありません。
うさぎやフェレットなど、ケージの中で飼うことが前提の動物の場合、部屋に傷は付きにくいのですが、糞尿の臭いは高確率で部屋に染み付いてしまいます。
物件のオーナーは、住人の入退去ごとに必ず大掛かりなクリーニングや壁紙を交換しなければならないため、大きな出費になってしまうのです。
ペット飼育可能物件では壁紙や床などが傷つきにくく、臭いがつきにくい素材を用いることでペットの飼育を可能にしています。
さらには、小動物用のキャットウォークや出入りができるドアなど、動物たちが室内飼いで運動不足にならないための設備を搭載することで、ペットと飼い主が共生できる環境を整えているのです。
ペット飼育可能物件は、「ペットを飼ってもいいですよ」などと単に表記した物件ではなく、ペットが健康的に生活できて飼い主と楽しく過ごせる環境を持つものを指します。そこまで設備を整えてこそ、はじめてペット飼育可能物件になるのです。
需要に比べてまだまだ物件の供給数が少ないだけに、ペット飼育可能物件にすればペットを飼いたい人からの大きな需要を見込むことができます。
物件が駅からほど遠く、立地が悪いために空室を埋めるのが大変なオーナーは、ペット飼育可能物件にリフォームすることで入居率を高めることができるでしょう。
2.入居者コミュニティの形成で長期間の入居が期待できる
ペット飼育可能物件の場合、ペット好きな人に住んでもらえることだけが魅力ではありません。
ペット飼育可能物件に賃貸で住む人は、もちろんペット好きな人が多いです。
動物が好きな者同士が、マンション内で交流を図ることもできるのです。
例えば、ペット飼育可能物件にするとき、ペットが散歩から帰ったときに足を洗える場所、ドッグランのように柵を設けてその中で自由に走り回れるスペースがあれば、非常に人気が高いです。
そういった屋外施設があると、入居者同士が交流しやすくなります。
交流できるスペースを設けておくことで、住人同士によるコミュニティが自然と形成されていくのです。
では入居者コミュニティがあると、どのようなメリットがあるでしょうか。
それは、入居者が物件の住みやすさを気に入り、長期間住み続ける可能性があるのです。
ペット飼育可能物件でも入居者が入れ替わるときは、やはり、大掛かりなメンテナンスが必要になります。頻繁に入退去が発生していると、収益性がどうしても悪化してしまいます。
そこで、唯一無二の価値を入居者に提供できるペット飼育可能物件にすれば、「ペットの飼育のしやすさで、これ以上の部屋はない」などと好感を持つようになり、4年、6年、8年と、非常に長く住んでもらえるようになるのです。
さらには、入居者同士でコミュニティができることで、マンションの中で交友関係が生まれます。
そうすると、「このマンションから引っ越すと、友人関係が失われてしまう」と消沈し、気軽に引っ越すこともなくなるのです。
同じ人がずっと部屋を借りることは、マンション経営の収益性が安定することにもつながります。
ペット飼育可能物件ではどうしても建築費や設備投資費が嵩んで(かさんで)しまいますが、その代わりに通常のアパートやマンション物件よりも家賃を2割増しほど高く設定できます。
費用がかかったとしても、その分家賃を値上げできるので、収益性は悪いものではありません。
高めの家賃が設定された物件に住む人の収入は高額であることが多く、家賃が安い物件よりも家賃の滞納問題が起こりにくいメリットもあります。
収益を考える意味でも、ペット飼育可能物件にする意味は大いにあると言えるでしょう。
3.宣伝活動も行いやすい
ペット飼育可能物件では宣伝活動を行いやすく、部屋探しをする人の目に留まりやすいのもメリットです。
不動産物件情報の検索サイトでも、最近ではペット飼育可能物件という条件を設けた検索が可能になっています。ペットを飼育したい人は、まずはそこにチェックを入れて検索することになるでしょう。
まだ部屋の絶対数が少ないため、ペット飼育可能物件というだけで物件を見つけてもらいやすくなります。
もし、パソコンでのブログの運営などが得意なオーナーであれば、物件のホームページやブログを自ら作ることでペット飼育可能物件の魅力を多くの人に伝えることができます。
一般的なアパートやマンションの場合、物件の条件で他社と差別化するためには、家賃を値下げするしかありません。大きな差別化を図るためには、かなりの費用をかけなければならないでしょう。
さらには、駅からの距離などの立地条件は後々変更できません。
「こういった設備が導入されました」「こういったコミュニティが形成されています」「ペット好き同士の交流会をやっています」など、ペット飼育可能物件であればシェアハウスのような付加価値を付けることも可能になるのです。
競合する他のアパートやマンションにはない魅力を訴求しやすく、また情報が埋没しにくいということで、ペット飼育可能物件には多くのメリットがあるのです。
もし、賃貸物件の経営に行き詰まり、どのような対策を立てれば良いかがわからないときは、ペット飼育可能物件にリフォームやリノベーションを施すことで魅力度を上げてみてはいかがでしょうか。