【実践コラム3】賃貸併用住宅への投資の注意点

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経済的なメリットは非常に大きい賃貸併用住宅ですが、自宅を自分だけが使用するわけではない以上、入居者との関係には特に気を配る必要があります。私が実際に賃貸併用住宅で生活していく中で感じた注意点をここではご説明したいと思います。

1.入居者と大家のプライバシーをきちんと確保できるようにする

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賃貸併用住宅で生活するうえで最も気を配らなければいけないのは、大家と入居者の関係性です。そして、プライバシーへの配慮です。プライバシーの問題はとてもデリケートなものがあり、大家に対して求めるものが1人1人異なる点が特に難しいところです。

例えば上の階に大家が住んでいることを好ましく思う住人がいたとします。女性の一人暮らしの場合、どうしても防犯や安全に気を配らなくてはいけないので、何かあったときにすぐに相談できる大家が上にいることで安心感を覚える人はいるのです。

また、大家がすぐ上に住んでいれば、鍵をなくしたときでも開けてもらえます。便利だと思う人もいて、そういった人に住んでもらえると、大家としても親近感を覚えます。また、良い人間関係が容易に築けるようになります。

いっぽうで、上の階に大家が住んでいることに不自由を感じる人もいます。若い男子学生などは一人暮らしでせっかくハメを外したいと思っても、上に大家が住んでいると騒音をすぐに注意されるのでは、と不便に感じてしまう人もいるようです。

こういったそれぞれの距離感に気を配るには、基本的には通常のアパート以上に防犯・防音などの面でプライバシーの確保に努めておきたいところです。まず大家と入居者の玄関は、できれば別の方向に向いている家を選びたいものです。そうすればよほどのことがない限り、大家と入居者が顔を合わせることはありません。

また、大家が利用する車の駐車スペースと入居者が利用するバイクや駐輪場など、空いたスペースも別々に用意すれば、お互いにプライバシーの確保が可能です。

1階には入居者の部屋が並んでいますが、屋外の使用スペースや洗濯物干し場にはきちんとついたてを作っておきます。そうすれば入居者同士が顔を合わせたり、下着などの洗濯物を見られたりする心配もなくなります。

また、大家も入居者に対して気を配らなければいけないことがありますし、入居者からクレームが入ることもあります。特に小さな子供が住んでいる場合、とても気を配るものです。小さな子供の場合、親が全ての行動をコントロールできるとは限りません。家の中を走り回ったり、大声で泣いたりすることもあります。日中ならともかく、赤ん坊の夜泣きなどが、入居者に対して迷惑を与えることもあるのです。

3階部分で生活していれば、1階まで音が響くことはありません。しかし、2階の騒音は1階に伝わってしまいます。

2階部分は全ての部屋に防振マットを敷いて、出来る限り足音が下の階に響かないようにします。1階と2階の間に防音対策を施している賃貸併用住宅を選ぶなどの配慮が必要になってくるでしょう。

また、家の中でピアノを弾いたり、音が出る楽器を鳴らしたりすることも難しくなってしまいます。そういった生活を行ううえでの不自由さが出てくることは、賃貸併用住宅を購入する前に承知しておいてください。

2.賃貸物件としての需要がある場所を選ぶ

賃貸物件を購入するわけですから、立地にこだわる必要があります。賃貸併用住宅は、まずは自分用の住宅としての便利さ、コスト面を考慮して建てる人が多く、住宅地の中心に賃貸併用住宅を建ててしまう人もいます。

しかし、あまりにも住宅地の中心に近すぎる場合、駅から離れていることが多く、単身者が生活するときは不便を感じることも多いです。単身者の方にとって生活しやすい場所は、やはり駅の近くです。駅から15分以上も離れている住宅地がありますが、賃貸併用住宅を建てるのですから、やはりある程度は駅からのアクセスが良く、駅から徒歩で10分以内の場所を選ぶようにしましょう。

また、大学などが近くにあれば入居者を確保しやすいと考えがちですが、現在の大学は郊外から撤退して都心に回帰する傾向が見られます。あまりにも大学に入居者を依存してしまうと、大学が移転したさいに一度に空室が発生する恐れがあります。ある程度は都心に近い場所を選んでおいたほうが良いでしょう。

賃貸物件を運営するときは、今の状況を見るのではなく、場所の選定一つをとっても10年後や20年後を見据えることが重要になってきます。

単身者世帯の割合が高く、賃貸物件としての需要が安定している場所、そして、しばらくは需要の増加が望めそうな場所に賃貸併用住宅を購入するようにしてください。

3.収益性そのものはあまり高くない

賃貸併用住宅は収益物件ではありますが、収益性そのものは決して高いとは言えません。建物の中の半分以上のスペースは自分で使用しますから、普通のアパートや戸建て投資と比べれば当然、収益の額は減ってきます。

例えば私の例ですが、毎月の返済額が12万円であることに対し、家賃による収入は14万円です。単純にキャッシュフローの計算上では2万円しか残っていません。

非常に大きな経済的なメリットを享受できるのは、あくまでも自宅用の居住費を賃貸併用住宅の家賃で節約できているからです。私が購入した物件は4,500万円ですが、4,500万円の物件に対して年間の家賃収入が約170万円ですから、表面利回りは3.5%程度しかありません。

中古で木造の投資用物件としてみると、非常に低い利回りになってしまいます。不動産投資で家賃収入をどんどん増やしていきたい方であれば、賃貸併用住宅ではなく、素直に木造一棟アパートなどを購入したほうが良いでしょう。

経済的なメリットとは、あくまでも自宅で収益が得られるという意味にすぎません。

また、賃貸併用住宅は住宅ローンを利用していますから、当然ながら一棟しか購入できません。したがって、賃貸併用住宅を同時に二棟持つことはできません。賃貸併用住宅のメリットは、住宅ローンを利用することで返済リスクを大幅に軽減できることです。

不動産投資の初心者、もしくは、これから不動産投資を始めたい方には向いていますが、不動産投資で専業大家を望む方にとって、賃貸併用住宅で住宅ローンの融資を受けていることが投資用ローンの融資を受けるさいのマイナス要因になる恐れもあります。

二棟目以降を購入するときは、現金で購入するか、もしくは、かなりの額の自己資金を用意して融資の審査を受けることになるでしょう。

相対的に見て賃貸併用住宅の金銭的なメリットは非常に大きなものがありますが、不動産投資による収入面から見ると、そこまで大きなものではありません。あくまでも大きなリスクを負う必要がないという点がメリットです。

まとめ

賃貸併用住宅を運営するときは、まずは入居者とのプライバシーの確保に気を配る必要があります。入居者が快適に生活できない住宅は、せっかく空室が埋まっても、すぐに退去が発生してしまう可能性が高いです。大家としても入居者には迷惑をかけないように、生活音の発生には気を配らなくてはいけません。ある程度の不便さは承知しておかなくてはいけません。

そして、単純に得られる家賃の総額はあまり大きくありません。建物の一部しか賃貸に使用されないからです。それでも、相対的に経済面のメリットはかなり大きなものがあります。不動産投資をこれから始めてみたい方は、是非とも賃貸併用住宅への投資を検討してみましょう。チャレンジする価値はあると言えるでしょう。






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