住宅ローンを繰り上げ返済する具体的なメリットとは

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自宅、投資用物件を問わずに不動産物件を購入するときは、基本的に金融機関からローンの融資を受けて購入するのが一般的です。非常に低い金利で融資が受けられること、投資用物件でもお金を借りて投資ができることなど、住宅ローンは非常に優れた特性を持っているのです。

ここでは、返済の負担をさらに軽くする方法として、住宅ローンの繰り上げ返済を行うことの具体的なメリットをお伝えしていきます。

1.住宅ローンの繰り上げとは

住宅ローンの繰り上げとは、決められた毎月の返済額よりも多くの金額を一度に、金融機関に返済することを指します。予定よりも早く住宅ローンを返済していくことで、様々なメリットが生まれます。

1-1.元本を直接減らすことができる

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まず住宅ローンの繰り上げ返済の最大のメリットは、元本を直接減らせることです。例えば35年間の住宅ローンを組むと35年間、つまり、420ヶ月の間は同じ金額を返済していくことになります(※元利均等返済の場合)

金融機関からは住宅ローンの返済に関する予定の一覧表をもらうことができますが、その内訳を見ると、金利にかかる支払いの多さに驚くでしょう。例えば毎月10万円の返済だったとしても、返済初期の金利は5万円、元本が5万円という内訳になっていたりします。

残債が多ければ多いほど金利分の返済が大半を占めていて、なかなか元本を減らしていくことができないのです。

しかし、100万円の繰り上げ返済を行うことで、例えば3,000万円の残債を一度に2,900万円まで減らすことができます。通常の返済を続けた場合、毎月の残債は5万円ほどしか減らず、1年間で120万円を返済したつもりでも元本は60万円しか減らないのです。

100万円の繰り上げ返済によって金利を何十万円も減らすことができます。投資として捉えた場合、100万円の追加投資で金利分の支払いが80万円も減ることになり、投資効率が大変良くなるのです。

元本を直接返済できるという点は、繰り上げ返済の最大のメリットと言えます。

1-2.ローンの期間短縮ができる

繰り上げ返済を行えば、ローンの返済期間を短縮することが可能です。例えば10万円を300ヶ月の間に返済する計画を立てていたとして、100万円を繰上返済することになったとします。すると、返済期間を2年近く減らすことが可能になります。

35歳で35年ローンを組んだ場合、そのまま返済しているだけでは最終的に完済できるのは70歳ですので、一般的な定年退職後の年齢に到達してしまいます。

定年退職前に住宅ローンを全て返済したいのであれば、繰り上げ返済を行って返済期間の短縮を図ります。そうすれば60歳や65歳の段階で住宅ローンが完済し、老後の生活は楽になるのです。

1-3.毎月の返済額を減らすこともできる

もう一つの選択肢としては返済期間の短縮ではなく、毎月の返済額を減らすことが考えられます。毎月の返済額を減らすことで日々の家計が楽になり、生活に余裕が生まれます。最終的な支払の総額で見れば、毎月の返済額を減らすよりも返済期間を短縮したほうが有利になることが多いのですが、それでも、毎月かかる生活費を抑えたいときは繰り上げ返済を行って、毎月の支払額を減らすのも一つの手でしょう。

2.繰り上げ手数料の有無で金融機関を選ぶ

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繰り上げ返済を積極的に行っていくには、繰り上げ返済に伴う手数料の有無で金融機関を選ばなくてはいけません。ではどういった金融機関を選べば、繰り上げ返済の手数料がよけいにかからないのでしょうか。

2-1.繰り上げ手数料無料の金融機関は?

ネット銀行の多くは、繰り上げ返済にかかる手数料が無料です。下記のネット銀行では、繰り上げ返済時の最低金額も決まっていませんし、ほぼ自由に繰り上げ返済を行うことができます。

一部の金融機関で、変動金利と固定金利で手数料の金額が違ったり、手数料の有無が生じたりしていますが、下記の金融機関から住宅ローンの融資を受けることができれば、後々の繰り上げ返済のさいに無駄な出費に悩む心配がありません。

銀行名 一部繰り上げ返済 全額繰り上げ返済
ARUHI 0円 0円
イオン銀行 0円 5万4,000円
じぶん銀行 0円 変動金利期間=0円 固定金利期間=3万2,400円
新生銀行 0円 0円
住信SBIネット銀行 0円 変動金利期間=0円 固定金利期間=3万2400円
ソニー銀行 0円 0円
楽天銀行 0円 0円

また、以下のメガバンクも、繰り上げ返済時の手数料は無料になっています。

銀行名 一部繰り上げ返済 全額繰り上げ返済
みずほ銀行 0円 不可
三井住友銀行 0円 5400円
三菱UFJ銀行 0円 1万800円
りそな銀行 0円 不可

メガバンクから融資を受けるのはなかなか難しいですが、金利自体は高いものではないため、繰り上げ手数料がかからない、金利も安いなどのメリットを得ることができます。

ネットバンクなどの金融機関は、店舗維持のための費用がかからないため、金利や手数料が軽減されています。可能な限り、こういった金融機関からの融資を考えていきましょう。

2-3.手元の現金をすべて繰り上げてしまうのは得策ではない

繰り上げ返済は有利ではあるものの、大きな問題を一つ孕んでいます。少しだけ貯金ができたことに気を許し、手元にある現金を全て繰り上げ返済に回してしまうと、のちのちに大きなリスクを伴うのです。

自宅とはいえ、何らかの自然災害などで修繕が必要な状況に陥れば、多額の修繕費が必要になるケースもあります。そういった場合、保険に入っていない状態、手元に現金がない状態では、家の修理を行うことができず、大変不便な生活を余儀なくされることになります。

また、住宅関係の出費だけではなく、手元にまとまったお金がなければ困ることもあります。例えば病気や事故にあったときの入院代や治療代が捻出できないことがあります。他にも子供の進路に関する学費の問題、車の買い替え、身内に何らかの問題が起きて臨時の出費が必要になったときなどに対応できないことがあります。

確かに繰り上げ返済は金銭面で大きなメリットをもたらすのですが、不測のトラブルに備えるため、手元にある程度の貯金を残しておくように心がけましょう。

3.住宅ローン減税が使える間は、繰り上げをしない選択肢もある

また、繰り上げ返済を行うタイミングは人によって異なりますが、住宅ローン減税が使える期間は繰り上げ返済を行わない方法も取れます。

住宅ローン減税は、住宅ローンの融資を受けてから10年間にわたって残債の1%に当たる金額が所得税や住民税から還元される制度で、最大で年間40万円、10年間で最大400万円に相当する税金が戻ってきます。1%未満の変動金利で住宅ローンの融資を受けていた場合、住宅ローン減税は金利に換算して1%分の減税効果を伴うため、なんと実質金利はマイナスになってしまうのです。

仮に金利を30万円支払ったとしても、40万円が毎年戻ってきます。差し引きしてプラス10万円です。せっかくの住宅ローン減税を最大限に活用して、効果のほどを実感しないのは実にもったいない話です。

例えば4,000万円の住宅ローンの融資を受けて10年間返済し、3,200万円程度に残債が減るとします。すると、実質的に10年間で350万円ほどの減税額になります。

しかし、返済途中で家計に余裕ができたからといって500万円を繰り上げて返済してしまうと、減税による効果が300万円未満に下がってしまうこともあるのです。

さらに、消費税が10%に増税されれば、住宅ローン減税は13年間まで延長されます。

13年間は住宅ローン減税を最大限に活用し、税金の還付金を貯金します。そして、減税期間が終了したところで貯金を一度に使って繰り上げ返済を行えば、享受できる金銭的なメリットは最大になります。

まとめ

住宅ローンの繰り上げ返済は、金利分の支払いを減らすのに大きく役立ちます。しかし、住宅ローンの減税を利用できるのであれば、すぐに繰り上げ返済をするよりも、13年待ってから一気に返すことも検討しましょう。

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