サブリース契約を悪用した業者の手段を解説!         

不動産投資

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何かと問題が多い不動産投資におけるサブリース契約。このサブリース契約を悪用し、逮捕された不動産会社の社員とサブリース会社のブローカーがいました。こういった人間は、どのような手口で投資家を勧誘し、不正な詐欺行為を行っていたのでしょうか。その手口をここでは解説していきます。

1.サブリース悪用事件の概要

このサブリース悪用事件の概要を確認していきます。

共犯したのは不動産会社の社員とサブリース会社を相手に活動していたブローカー

マンション物件を提供する不動産会社の社員と、その物件を借り受けて投資家に家賃を支払っているサブリース会社。このブローカーは複数のサブリース会社の関係を持っていました。色々なサブリース会社に顔を売り、また同時に複数の不動産投資家にアプローチをしていたのです。

2.フラット35を不正利用

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このサブリース悪用事件では購入資金の融資に関してフラット35を利用していました。フラット35は高品質な住宅を、低金利で多くの国民に提供するための政府系の金融機関が行っている融資です。35年間変わらない低金利での融資を受けることができるため、リスクを抑えながら住宅を購入できるメリットがあります。ただしフラット35は長期優良住宅などの高品質な住宅向けの融資に限られており、用途は投資用ではなく個人の居住用物件に限られています。投資用マンションをフラット35で購入することは、基本的に出来ません。

2-1.不動産会社と顧客の間に二重契約

彼らがどのような手口で利益を出していたのかと言うと、不動産会社と顧客の間に二重契約を結んでいたのです。まず不動産会社の社員が書類を偽造し、フラット35からの融資を受けます。例を挙げると、3000万円の投資用物件の購入の際に、物件の書類を改ざんしたり投資家の書類の収入を増やす、預金の数字を増やすなどの改ざんを行い、4,500万円の融資を取り付けたとします。実際には3,000万円の物件購入の契約書と、4500万円の物件を購入する契約書、二つの契約書ができていたのです。

投資家にはこうした方が有利な条件で物件を購入できると言う売り文句を使い、書類の改ざんに協力させていました。そして物件価格よりも高い金額の融資を受けるように仕向けていました。しかし実際物件の価格は3,000万円ですから、投資家に渡すお金も同額です。

余った1,500万円は投資用物件の購入の際に、サブリース会社との契約を取り付けサブリース会社へ支払う費用として、自分たちで書類を作成して計上していました。

そしてこの二人がその余分な1,500万円を着服していたのです。

3..投資家がだまされないようにするには

不動産投資業界における詐欺事件は、残念ながら毎年のように発生しています。どうしても大金が動くため、その大金を何とかで手に入れようとする悪質な人間に目をつけられやすいのです。また同時に投資家も自衛のため、不動産投資でなぜこういった詐欺事件が起こるのか自分が騙されないようにするにはどうしたらいいのか。そのための自衛の知識を身につけておく必要があるでしょう。

3-1.鉄則として二重契約書の話には乗らない

まずは騙されないために絶対行ってはいけないのが、二重契約書の作成です。また書類改ざんの話にも絶対に乗らないようにしましょう。二重契約書を作成している時点で、二重契約が生まれたことによる罰則が発生するのは間違いありません。

このサブリース詐欺の場合は、自分は3,000万円の物件しか購入しないのに、4,500万円の融資を受けているので、投資家個人にも4,500万円の返済義務が発生します。その場合物件を売却して返済しようとしても、間違いなくお金が足りません。仕方なく物件が競売にかけられ、また自己破産に追い込まれる可能性が高いのです。

書類を改ざんして融資を受けても、スルガ銀行の事件で代表されるように、不動産会社から持ちかけられた話でも、投資家の債務が免除になるケースは非常に少ないです。書類の改ざんに協力したということは、自分も共犯です。大変にリスクが高くなってしまいます。

金融機関の社員でもないブローカーに持ちかけられて進んだ話の場合、ブローカーは問題が発覚した時点で姿をくらましてしまうことがあります。しかし普通の会社で勤務をしている個人投資家は、はそう簡単に姿をくらますことができません。特に家族がいればなおさらです。

つまり、真面目に働いているほど、こういった書類の改ざんなどはリスクが高くなってしまうので絶対に協力しないようにしましょう。

3-2.サブリース収入や家賃の相場を知る

またサブリースに騙される人、サブリース契約で損失を被る人が未だに非常に多くいます。それはサブリース契約が、ずっと一定の金額の家賃収入が得られて何もしなくても収入が入ってくると勘違いしてしまうからです。しかし実際にサブリース契約を結んでも、収入は定期的に見直されほとんどの場合5年や10年で大きく家賃収入が下がってしまいます。

また修繕などを行うことが契約とセットにされているので、一定期間ごとに修繕を行わなくてはならず、そこで多額の出費が発生してしまいます。場合によっては家賃の収入よりも毎月のローン返済の方が上回ることすらあります。

サブリース業者はこれだけ多くの家賃が入りますよと言って、最初は過大ともいえる家賃収入をアピールしてくることがあります。しかしその家賃収入は相場とかけ離れた大きな金額であり、2年後など直近の契約更新時に一気に家賃収入の金額を下げてくるのです。

こういった話に騙されないようにするためには、適切な家賃や物件価格の相場を自分でも把握しておく必要があります。

3-3.自己資金0円や属性が悪くても融資が受けられる、という話は疑う

不動産会社は自己資金ゼロ円や、正社員でない収入が少ない借金があるといったいわゆる属性が悪い人でも、不動産投資ができますよと言ってくることがあります。

新築マンションなどであれば、確かに自己資金0円のフルローンで融資を受けて物件を購入することは可能です。しかし新築マンションの場合、業者の利益が上乗せされて販売されているので、利回りが非常に低く、購入した瞬間に家賃物件価格は1割以上値下がりすると言われています。必ず赤字になるとは言いませんが、収益が出たとしてもほんのわずか。投資に飽きて売りたくなっても、購入価格よりはるかに低い金額でしか売れないこともよくあるのです。

属性が悪くても融資を受けて物件を購入できるという時は、融資金利が非常に高いケースが多いです。1ヶ月でも空室が発生すると、運用実績が赤字になってしまうこともあります。そのため、フルローン前提で話をしてくる業者には、よく注意しましょう。

3-4.住宅ローンを投資用に利用することは規約違反でリスクが大きい

そして今回の事件ですが、資金調達のために住宅ローンであるフラット35を利用していました。住宅ローンは金融機関にとっても採算度外視で低金利を行っている、公共事業に近い性質の商品になります。そのため投資用物件を購入していたらという規約違反がばれると、残債を一括返済を求められます。

もちろん一括返済などできるわけもありませんから、その場合は物件を強制的に売却せざるを得ません。物件価格を残債が上回ってしまうと、そのまま競売にかけられたり借金を背負うことになります。そのため大変にリスクが大きいのです。

悪徳な不動産業者そしてブローカーの手口をよく知って、書類改ざんなどを行わせて無理に投資用物件を買わせるような業者とは、絶対に付き合いを持たないようにしましょう。

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