一昔前のアパート物件としては、ロフト付き物件が非常に多くみられました。
限られた敷地しかないアパートにおいてできるだけ各部屋の面積を多く取り、入居者が有効に使えるスペースを設ける策として、ロフト付きの物件がもてはやされたのです。
しかし、「ロフトは使いにくい」「夏は暑くて物置き場程度にしか使えない」などの声が入居者から多く寄せられるようになったため、最近の新築物件ではロフトのスペースを設けることはほとんどなくなりました。
一方で、最近ではロフト付き物件の魅力を再認識する声も上がっています。
ここでは、ロフト付き物件にはどのようなメリットやデメリットがあるのか、その他にも、ロフト付き物件を運営するときはどのような点をアピールすれば良いのか、お伝えします。
1.ロフト付き物件のメリット
最初に、ロフト付き物件のメリットを確認していきましょう。
1-1.ワンルーム物件でありながら、居住スペースを2部屋分確保できる
ロフト付き物件の最大の魅力は、狭いワンルーム物件であるにもかかわらず、寝室や物置き場代わりに使えるスペースを別に確保できることです。
キッチンやユニットバス、洋室6帖程度のワンルームの部屋があるロフト付き物件。面積にすれば15~20平方メートル程度でしょう。
1人暮らしにはちょっと狭く、使いづらさを感じる人もいるかもしれません。
そこで、部屋の上部にロフトスペースを設けることができれば、そこに5平方メートル程度のスペースを確保できるのです。
5平方メートルの部屋は3畳程度に相当します。そこで就寝することは可能でしょうし、寝室とそれ以外の居住空間を別々にすることも可能です。寝室をそのままロフトに充てることができるので、居住スペースにあまりプライベートなものを置くこともなく、清潔かつすっきりと保つことができます。
単純に6畳ワンルーム程度の物件でも、ロフトがあれば10畳程度の広さを確保できます。そのため、家賃の割にかなり広いスペースを得ることができるのです。
2.ロフト付き物件の一般的なデメリット
ロフト物件はメリットだけではありません。ロフト物件があまり作られなくなったのには、それなりの理由があります。
部屋探しをしている人にとって、ロフト付き物件はどのようなデメリットがあるのでしょうか。
2-1.熱がこもって夏が熱くなる。
天井が高い部屋の上部にロフトスペースが位置することから、2階建てアパートの2階にある部屋の場合、ロフトは屋根に非常に近い場所になります。
屋根に近いということは、それだけ日差しをまともに受けるため、気温が著しく上がってしまうのです。
そのため、夏はエアコンがなければ、とても寝られないほどに室温が上がります。
実際には、寝室代わりに使えないことがあるのです。
またロフト部分には高さがなく、圧迫感があって落ち着いて寝られないという人もいます。寝室代わりに使おうと思ってロフト付き物件を選んだが、実際には使い勝手が悪く、結局は物置にしかならなかったケースもあるのです。
2-2.はしごが部屋の中で邪魔になる
ロフトに上がるには、基本的には部屋の中にはしごを置き、そこから昇降することになります。そのため、上下を往復するためのはしごが必要となります。
はしごは部屋の中で一定のスペースを取ります。
「邪魔になってしまうから」「部屋が狭くなってしまうから」などと敬遠する人もいるのです。
また、ロフトで寝ているうちに急ぎの用事を思い出したため、慌ててはしごで降りようとして足を滑らせ、思わぬ怪我をしてしまうこともあります。
「はしごの昇降のような危険なことをわざわざ部屋の中でしたくない」
そのように嫌気する人もいるでしょう。
その他にも、日常の中ではしごを使用することのデメリットを強く意識する人も、中にはいるようです。
2-3.他の部屋の音が伝わってきやすい
ロフト物件は、部屋の中の最上部の一部を使います。2階建てのアパートで1階の部屋にロフトがある場合、ロフトのすぐ上が2階の床になります。
そうなると、2階の部屋の騒音や足音が1階のロフトにダイレクトに伝わってしまいます。寝ようと思っていたのに上の部屋からの音がうるさく、眠れなくなることもあります。
また、2階の住人にとっても、下の住人に部屋の中の生活音を聞かれるのは、あまり気持ちの良いものではないでしょう。
防音性に優れていないアパートにロフトをつけようと思っても、プライバシーや騒音の問題で歓迎されないことが多いのです。
3.今、見直されつつあるロフト物件の魅力
様々なマイナス点があることで、敬遠されがちであったロフト物件。
しかし、最近では、ロフトをつけたアパートやマンションが少しずつ増えているようです。
ロフトのどのような点が魅力として見直されつつあるのでしょうか。
3-1.天井が高くて開放感がある
ロフト付き物件は、1つのフロアに2つ分のフロアに相当する高さを持たせているわけですから、基本的にはかなりの高さが必要です。
一般的な部屋の場合、天井の高さは2.2メートルから2.4メートルほどですが、ロフト付き物件の場合は天井の高さが2.8メートルから3メートルほどのものもあります。
天井が高い部屋は、入居者に相当な開放感を与えます。良い意味で、部屋の面積以上に広い部屋に住んでいるような感覚が味わえるのです。
それに天井が高ければ、壁にポスターを貼ったり、魅せるディスプレイを飾り付けたりすることもできます。
天井が普通の高さの部屋よりもロフト付き物件のほうがディスプレイの楽しさを味わえることから、ロフト付き物件は部屋の飾り付けにこだわりたい人にとって自由度の高い部屋として人気があります。
ロフト付き物件の場合、それほど高く家賃を設定できません。しかし、家賃の割には開放感があり、いろいろな使い方ができる物件としてアピールすることができるのです。
3-2.冬はロフト部分が温かくなる。
ロフト付き物件は、ロフト部分がどうしても外気の影響を受けやすくなります。
夏はとても気温が上がってしまい、エアコンなしでは生活することができません。
逆に、夏場同様に冬場でもロフト部分に日光が差すため、気温が上がりやすくなります。
暖房いらずで暖かく過ごすことができるようになります。
ただ、寒さ厳しい日はどうしても気温が下がってしまい、かなりの低温になってしまいます。それでも、暖かい日にのんびりと過ごすのであれば、ロフト付き物件は意外と使いやすいのです。
3-3.来客が来た時に物を隠すことができる
部屋に多くの友人が訪れる人にとって、ロフトは実に重宝するスペースです。
見られたくないものがある場合、ものが多すぎて部屋の中がごちゃごちゃしている場合、とりあえずはそういった「見せたくないもの」または「片付けたいもの」をロフトに隠してしまえば、下の居住スペースを広々と使うことができますし、見せたくないものを見られる心配もありません。
そういった緊急時の隠し場所として使えるのも、ロフト付き物件のメリットなのです。
ワンルームや1Kといった通常の間取りでは、こういった使い方をすることはできません。
ものが多かったり、人がよく訪れたりする場合、ロフト付き物件を借りてみると良いでしょう。
ロフト付き物件の住む・住まないは、好みによって評価が分かれます。
逆に言えば、一度でもロフト付き物件に住んでいた人は、ずっと住み続ける可能性があります。そこで、あえてロフトの魅力を前面に打ち出して入居者にアピールするのが良いのではないでしょうか。