2019年は珍しいことに、首都圏で台風の被害が広がっています。特に2019年9月上旬に上陸した台風15号は、千葉県を中心に甚大な被害をもたらしました。
不動産物件を運営するときは災害リスクを念頭に置く必要があります。ローンの融資を受けて購入する場合、基本的には火災保険の加入がセットになっているため、「甚大な被害を受けても、火災保険が使えれば問題ない」と考える人もいるかもしれません。
しかし、実際には火災保険で補償金が出たとしても、損害を受けたアパートやマンションから入居者が去って一時的に収入が大幅に減るリスクがあるのです。
そのため、基本的には災害リスクが少ない物件を選ぶ必要があるでしょう。
そういった災害リスクを抑えた投資物件を選ぶポイントを3つ、お伝えします。
1.基本的にはマンションを選ぶ
災害リスクを抑えたいのであれば、原則としてアパートや戸建て物件よりもマンションを選ぶべきです。
1-1.区分マンションは、柱や壁が多く強固
投資用のマンションには、部屋の多さが特徴の単身者向けマンションとファミリー向けマンションの2種類があります。2種類のマンションを比較した場合、より災害に強いのは単身者向けです。
1物件あたりの戸数は、単身者向けマンションのほうがファミリー向けマンションよりも多くなっています。戸数が多いだけに、柱や壁、梁などの建物の構造を支えるための資材が多く使用されています。
基本的にマンションは鉄筋コンクリート造ですから、それだけでもかなりの強度を持っています。しかし、主に区分マンションを購入すれば、構造材の多さ次第では耐震性が向上し、災害にも非常に強くなります。マンションであれば、飛来物以外の強風による被害は、そう恐れずに済むでしょう。
1-2.最低限旧耐震基準の物件は買わないようにする
マンションを選ぶ最低限のポイントとしては、1981年以前に築造されて古い耐震基準しか満たしていない物件を購入しないことです。
耐震基準を大幅に見直したことで、1981年11月以降に建てられたマンションは、構造的に震度6から7までの地震に十分に耐えうるだけの強固さを持っています。関東大震災以降は首都圏の直下型地震は発生していませんが、いつ発生するのか、皆目見当がつかない状態が依然として続いています。
1981年以前の旧耐震基準のマンションは、確実に築年数が40年近くに達しています。しかし、経年で物件価格が非常に安くなったため、見た目に反して表面利回りは良いものが多いのです。
しかし、それでも災害リスクが高く、また、火災保険も上がってしまうため、実は利回りにはあまり大きなメリットを見いだせません。
部屋探しをするときに入居者は、古い耐震基準しか満たしていないマンションを避ける傾向にあります。安全な物件で入居率を高めたいのでしたら、最低限、旧耐震基準の物件を買わないようにしましょう。
2.立地にこだわる
次に災害に強い物件を選ぶポイントとしては立地です。駅に近いだけではなく、災害の影響を受けにくい立地の物件を買えば、災害リスクが大幅に減少します。
2-1.高台の物件は浸水リスクがない
日本は台風や地震を中心とした自然災害の被害を受けることが多い国です。特に台風によってもたらされる大雨は、毎年、多くの住宅に浸水の被害をもたらしています。
では、浸水被害を避けるためにはどうしたら良いのでしょうか。
単純に、海抜から10Mから20Mほど高い場所に物件を買えば良いのです。
高台にある物件であれば、浸水することはまず、ありません。
ただし、丘の中腹にある物件は斜面に建てられているため、どうしても地盤が弱く、地震などに抗えません。
災害を避ける最適な方法としては、丘の頂上に建つ物件を購入すれことです。浸水を気にする必要がなく、少々の時間であれば強固に盛り土をしなくても頑丈で、揺れにも強くなっています。
大きな川沿いに建つマンションやアパートの場合、駅に近いなど立地が良くても、常に台風や大雨を警戒する必要があります。
2-2.関東は降雪や台風リスクが低い
立地を見るもう1つのポイントは、地方による気候の違いです。例えば東北地方、北陸地方、そして、北海道には、冬には必ず雪が積もります。雪かきや降雪に伴う屋根の荷重などの災害リスクを気にしなければいけません。場合によっては降雪によってインフラが死んでしまうこともあります。
その他にも、九州や沖縄地方は台風の被害を受けることが多く、建物の屋根が飛んでしまったり、飛来物によって被害を受けたりするリスクを検討しておかなければいけません。
そういったリスクを考えると、エリアによる災害リスクの差はかなり無視できないものがあります。
関東地方を一都三県エリアとして見る限り、雪が積もっている場所は山間部の一部だけですので、台風が直撃する確率は低くなります。
そういった意味でも関東地方での不動産投資物件の運営は、リスクが少なくて安心して運営できるのです。
2-3.ハザードマップを確認する
そして、物件を購入するときには、必ず自治体が提供しているハザードマップで実際にチェックする癖をつけましょう。ハザードマップは、今日までにどのエリアで、どのような自然災害が起きたかを知らせる災害地図の役割を担っています。現代は安全そうに見えるが、実は埋立地だったために地盤が弱く、土砂災害が発生しやすいことを今に伝えます。
雨の多い地方は土砂災害の可能性が高くなります。そういったリスクを避けるには、ハザードマップでチェックする必要があります。
3.場所の分散を行う
色々と注意を払っても、災害リスクはどうしても避けられない側面があります。
そこでとるべき対策としては、災害を前提としたリスクの分散です。
そのためには、不動産物件を所有する場所の分散が必要です。
3-1.棟アパートなどはすべての部屋が被害を受ける可能性がある
1棟ものアパート物件は利回りが高く、効率的な運営が可能です。そのため、不動産投資の初心者にも人気があります。しかし、1棟ものアパートを丸まる所有している場合、アパート全体が極めて低層であれば、不動産物件の収益を大きく左右することにつながります。
修繕費用が高くつくこともありますし、また、屋根やガラスなどに被害が出ると、一度にそのアパートから入居者が去ってしまうこともあるのです。そうすると、限られた場所にアパートしか所有してない人は家賃収入が大幅に減少し、返済期間が長くなってしまうこともあるでしょう。
アパートを1棟しか持っていないよりも、マンションを3棟ずつ別々の場所に持っていたほうが、リスクの分散につながります。
3-2.場所の分散は空室リスクの分散にもつながる
場所の分散は空室リスクの分散と同義です。災害リスクの対策と直接つながる喩えではないのですが、自分の家に近いことを理由に、埼玉の茨城県よりに区分マンションを4棟持っていたとします。しかし、そのエリアで過疎化が進んでしまえば、入居者が見つからないまま空室率だけが高くなってしまいます。
それよりも埼玉県内でも茨城寄り、大宮付近川口などの東京寄りなどのように場所を分散しておけば、全ての場所で災害を受けるリスクは低くなり、価格の下落を避けることが可能になります。
不動産投資に限らずに投資全般に言えることですが、1箇所に資金や収入源を注込むことだけは絶対にやめましょう。色々な投資対象に分散することがリスクを抑えるための鉄則だと言われています。
災害リスクに関しては、物件が強固であること、災害を受けにくい場所であること、そして、保有する物件の立地を分散すること、常に3つのポイントに留意しましょう。