スルガ銀行や西京銀行の個人投資家への不正融資問題により、現在の金融機関は徐々に個人投資家への融資を抑制しつつあります。
不動産会社と銀行がつるんで無理な融資を投資家に行った結果、収益を確保できなくなったり、物件のオーナーから訴訟されたりと、諸問題が発生しました。その影響もあってか、個人投資家が融資を受けにくい状況が出来上がりつつあるのです。
しかし、不動産投資を積極的に拡大していくには、個人投資家は出来る限り金融機関から融資を受けなければいけません。
そこで、今後の不動産投資で金融機関から融資を受けられるのはどのような人なのか、いくつかのポイントをお伝えします。
1.自己資金をしっかりと用意できる人
まず、個人投資家が取り得る対策としては、2割程度の自己資金を用意することです。フルローンで融資を受けることは非常に難しくなっています。そのため、ある程度の額の自己資金を用意できる投資家であれば、金融機関も融資を検討するようになります。
1-1.自己資金を用意できない人間は金融機関に警戒される
なぜ、一定額の自己資金を用意しなければいけないのでしょうか。理由は、金融機関があなたの貯蓄に対する姿勢をチェックするからです。かつてはマンションなどであれば、自己資金を用意せずともほぼフルローンで物件を購入することが可能でした。しかし、今は物件を購入する際には、2割程度の自己資金を用意しなければ話になりません。
融資を申し込んでも、首を縦に振る金融機関が見つかりにくくなっているのです。言い換えれば、「自己資金を満足に用意できない人間は、貯金すらできない」が、金融機関の常識(常套句)になりつつあるのです。
金遣いが荒い人間は不動産収入があっても、不動産ローンの返済以外に散財するため、金融機関側から返済リスクの高い人間だと判断されかねません。
また、自己資金を十分に用意できない人は、キャッシュフローに余裕がないと看做されてしまいます。なぜならば、キャッシュフローがなければ物件を修繕できないばかりか、高い入居率を維持できないからです。従って、「自己資金を持たない人間は、物件の運営に不向きである」として、不適格者の烙印を押されてしまうのです。
1-2.属性や与信、信用の改善に努める
自己資金を用意すると同時に、自分の属性や与信枠、信用の改善にも努めましょう。
サラリーマンの場合、基本的にはすぐに専業大家を目指すのではなく、サラリーマンとして安定した収入を確保しながら不動産投資を拡大していくことを考えます。
1企業に勤務し続ければ、給料は次第に上がります。年収の増加に伴って与信の枠が増えるため、多額の融資が受けられるようになります。勤続年数も、金融機関が融資を検討する際の判断材料になります。
また、カードローンや消費者金融への滞納がある人間は、信用を大きく毀損しています。そのようなことが決してないように、不動産投資以外のローンを誠実に返済したいところです。できれば融資を受ける前に完済しておきましょう。
2.担保価値の高い物件を探すことができる人
次に融資を受けられる条件として挙げられるのは、担保価値の高い物件を用意できることです。つまり、担保価値が高い物件を探し出せる投資家は、金融機関から高く評価され、結果として融資に結びつくのです。
2-1.積算価格が市場価格を上回る物件を所有していると、融資に有利
担保価値の高い物件とは、融資を受ける金額よりも市場価格が高い物件になります。5,000万円の融資を受けたい時に積算評価で4,000万円の価値しかない物件を担保に入れたとしても、5,000万円の融資はまず、受けられません。
しかし、積算価格で7,000万円ほどの物件を購入するのであれば、金額的にリスクが低下することから、金融機関は5,000万円を融資する可能性があります。
積算価格が高い物件を見つけることは、それほど簡単なことではありません。しかし、根気強く不動産会社に何度も足を運び、毎日のようにインターネット上の不動産物件情報サイトでチェックすれば、積算価格が市場の評価額を上回る物件を見つけることは決して不可能ではないのです。
「すぐにでも収益用の不動産が欲しいから」と、安易に物件を購入するのではなく、資産価値の高い物件を粘り強く見つける努力を怠らないようにしましょう。
そのような物件が見つかれば、金融機関も融資を検討します。
市場価格が積算価格を上回っていれば、万が一にも貸し倒れたとしても、金融機関側が融資金の全額を回収できる可能性が高くなります。そのような物件を手に入れたのであれば、フルローンの融資も夢ではありません。
3.金融機関の心象を良くする対応ができる人
自分の属性を良くすることには、どうしても限界があります。そこでもう一つ行うべき事は、自分の行動を改善することです。行動を改善することは金融機関の心証を良くすることにも、実際の物件運営における事業計画の改善にもつながります。
つまり、経営者としての信用を金融機関に印象付けることが重要なのです。
3-1.事業計画やレントロールをしっかりと提出できる
まずは収益用物件の購入後の事業計画、そして、現在のレントロールなどを調査し、しっかりと提出することです。
レントロールとは過去の物件の運営実績であり、収入の額が予測できることで事業計画の根幹になります。いい加減にレントロールを記録した中古物件は、購入しないほうが無難です。レントロールの中身が現状と照らし合わせて妥当であるのか、そして、相場通りの適正な家賃で運営されているのか、収益性を判断する材料にもなります。
レントロールを基にして、今度は新しい事業計画書を作成します。
例えば、
・リフォームやリノベーションを行って物件を改善すれば、さらに収益性を上げることができるのか
・そもそも購入価格に対して収益の額が妥当であるのか
・なぜ、その物件を購入するのか
・どのように利益を出していくのか
等を盛り込み、計画書を提出します。
計画書が論理的であり、実情に照らし合わせても説得力のある内容であれば、金融機関も人ですから思わず心が動いてしまいます。
投資家にとっての不動産物件の購入と運営、そして、金融機関にとっての融資。
結局はどれほどお金が儲かるのか、確たる立証が求められます。
金融機関から融資が受けられない人は、こういった基本的な要件を怠っていることが多いのです。
3-2.書類を迅速に揃えること
そして、最後に取り上げるべきは、必要書類を迅速かつ正確な内容で提出することです。
「書類の中身さえしっかりしていれば、問題ない」
「多少は提出期限を過ぎても、問題ない」←(※本来、説明文が主体のWEB記事に会話文を挟むことはルール違反です)
上記のように、自分勝手に考えてしまう人はいます。
しかし、「物件の運営で入居者に対する配慮を怠るだろう」と、細かいような人間性の部分を懸念する金融機関も中には存在するのです。
「何事にもいい加減な人間が、本当に不動産物件の運営をこなせるのか」
金融機関が不安に思っても、それは当然です。
定められたフォーマットに沿いつつ、相手が求める書類に必要な事項を記入して提出する。当たり前と言えば当たり前ですが、このような行動が取れない人も少なくありません。こういった些細なミスがマイナスの評価につながり、融資が受けられなくなるのは非常にもったいない話です。
手を抜くことなく、必要な書類を期限までに提出しましょう。
必要な書類を速やかに作成できるのであれば、金融機関の心証が良くなって融資につながることもあるのです。