不動産物件の運営では、必ず退去が発生するものです。
それは人が生活する以上仕方がないことであり、特に年度の切り替わりには通学や通勤の変更など、やむを得ない事情で引っ越しのために退去する人も出てくるでしょう。
しかし、やむをえない事情以外でも単純に気分転換もしくは家賃が高いなどの理由で退去してしまう人もいます。
特に契約更新時の退去がどの程度生まれるかは、物件の収益性を大きく左右してきます。
そこで入居者の契約更新時に対退去をできるだけ発生させないために、どのような点に気を配っておけば良いのか。その3つのポイントをお伝えします。
是非ともこれから不動産物件を運営するときの参考にしてみてください。
1.契約更新料や更新後の家賃を値引きする
契約更新時になぜ退去してしまうのか。それは、契約更新料という入居者にとって余計な費用が発生するからです。住み続けるためだけなのに、なぜ余計に一か月分の家賃を支払わなければいけないのか。
それを理不尽に思い、どうせ無駄な出費が生まれるなら新しい部屋に住み替えた方が良いと考える人もいるのです ただこういった退去は、不満点が金銭面ですからその不満点を解決してあげることでそのまま住み続けてくれることもあるのです。
その金銭面の不満とは契約更新料そのものです。契約更新料をカットする、もしくは無料にするという方法を取りましょう。
入居が2年続き、次の契約更新が迫ってきたら自分の方で仲介の不動産会社に「契約更新料は不要です」と伝えるのです。
そうすれば、不動産会社から入居者に対して「契約更新料不要で更新可能です」と伝えてくれるので契約更新料を支払いたくないなと思っていた入居者も住み続けてくれることでしょう。
実際引っ越しをすると、引っ越し代だけではなく新居の敷金や礼金、仲介手数料など3~4ヶ月分の費用が発生するので、契約更新をしてでも、そのまま同じ部屋に住み続けた方が出費は少ないです。
その点をしっかり入居者に理解してもらえれば、入居者も問題なく住み続けてくれることでしょう。
また長く住んでくれている人がいれば、更新のタイミングで家賃を1000円値引きしますよとなど割引サービスを考えてみるのもよいです。
元々家賃はどうしても物件が古くなると、値下げせざるを得ません。
例えば築5年の時から築15年の時まで10年間住んでくれてる人は、築5年時点の家賃をずっと支払い続けることになってしまうのです。
しかし同じ物件内の部屋で、築15年時点で募集する家賃は、築15年物件としてやや値下げされているものです。築5年から住み続けている人がいたら、
「自分の家賃より安い」と不満を持つこともあるかもしれません。
物件の経年に応じて、常に家賃を少しづつ値下げしてあげれば入居者の不満もなくなり、長く住み続けてくれることでしょう。
何より一度空室が発生してしまうと、たとえ一か月の空室で次の入居者が決まっても、仲介手数料や清掃費用、広告費などで、3ヶ月ほどの収入減になります。
また立地が悪かったり繁忙期を過ぎてしまうと、2~3ヶ月も空室が発生したままになることも珍しくありません。
空室を防げるのであれば、家賃を1,000円値下げしたとしても、コストパフォーマンスは悪くないはずです。
仲介手数料の割引、そして家賃の値下げを検討して金銭的メリットを入居者に提供してあげましょう。
2.早めに設備投資を行っておく
次の長く住み続けてもらうためのコツは、早めの設備投資で入居者にこの物件は「いい物件だな。コストパフォーマンスが良い物件だな」と思ってもらうことです。
そのためには入居している人が、契約更新時の引っ越しを考える前に対策を行っておく必要があります。
年度の切り替わりである、3月に引っ越しを考える人が多いので、多くの人が年末前後に「次の更新の時どうしようかな」引っ越しをするかな」と検討を始めます。
そこで、12月前に設備工事などを行っておけば「ここの部屋は新しくなり、すみ良くなったので引っ越しはやめよう」と思ってくれるのです。
つまり更新を行ってもらうための対策は、9月ぐらいから検討して、12月までには設備更新を完了しておく必要があります。
どんな設備投資が効果的でしょうか。
まずはモニター付きインターフォンや、オートロックなどの防犯設備です。特にモニター付インターフォンは2万円程度で設置できるので大変コストパフォーマンスの良い設備です。
最近人気の設備と言えば、インターネット無料物件です。インターネット無料にしてあげれば入居者の通信費を削減できるので、金銭的メリットも与えられます。
その他にも一人暮らしが多い物件でしたら宅配ボックスを設置してあげると、不在でも荷物を受け取れるので、利便性の面でも、また防犯面でも入居者にとって大きなメリットがあるのです。
一方でバストイレ別物件にリフォームすることは、入居者が住んでいる状態ではできません。入居者が一旦退去してから行わなければいけませんし、工事費用が100万円ほどかかることもあるので、決してコストパフォーマンスが良いとは言えない設備投資です。
リフォームやリノベーションのような大きな設備投資をするのであれば、空室が発生した時点で行い、入居者がいるまな行えるような設備投資は、機能を追加するといったものを提供すると良いでしょう。
スマートスピーカーなど目新しいものを提供する設備投資を行えば、入居者も「これは面白い」と思って住み続けてくれるかもしれません。
3.入居者とのコミュニケーションを取り、相手の動向を把握する
そして実が意外と効果的なのが、入居者とのコミュニケーションをきちんと取っておくことです。入居者がどんな人であり、その人は何を求めるのかが分かれば、設備投資も行いやすくなります。
仮に退去を考えている人がいるとわかった場合には、早めに退去後の募集対策を打てます。
空室期間を短くできるでしょう。
直接自分が管理していない物件の場合、管理会社にその部屋に住む人はどんな人ですか、と少しずつアプローチをしてもらうと良いでしょう。
実は意外なヒントになるのが、クレームがあった時です。
普通に生活しておるだけでは入居者と管理会社にほとんど接点はありません。
しかし、入居者からクレームが入った時は実はピンチではなくチャンスなのです。
入居者はどんな生活をしているのか、何を不満に感じているのか、この物件に必要なものは何なのかといった貴重な意見をもらう機会だと言えます。
その意見をもとにきちんと短期間で対処すれば、入居者の評価は「この物件は住みづらい」から、「この物件の管理者はきちんとこちらのクレームに対応してくれる素晴らしい管理者だ」というプラスの評価に大きく変わります。
まさにピンチはチャンスです。クレームにきちんと対応することで入居者の好感度をアップしておけば、長期間住み続けてくれるはずです。
長く住んでくれる入居者は、物件オーナーにとっては大変ありがたいものです。
また、短期間で退去が何度も発生する物件は住みやすさに何らかの問題があると考えておいた方が良いでしょう。もちろん学生などは就職に応じて引っ越してしまうことが多いですが、30代40代の単身者などは一生更新すれば、10年20年と長く住んでくれることもあります。そういった入居者を大切にして、きちんと意見を取り入れていくようにしましょう。