新型コロナウイルスが日本の不動産投資業界に与える影響

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2020年に入り、新型コロナウイルスが全世界で猛威を振るっています。

その感染者数は4月頭には100万人を突破し、死者も5万人を超えるほどです。日本ではまだ死者は100名ほど、感染者数も数千人に抑えられていますが、どれほどの拡大になるのかその影響は未知数です。

新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために経済活動が自粛され、その影響が様々な相場の変動に現れています。

新型コロナウイルスの影響は、不動産投資業界にも現れるのでしょうか。

どういった方面に影響が現れるのかを検討してみました。

1.REIT市場は約50%の下落

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まず実際に新型コロナウイルスにより影響を被ったものを列挙してみましょう。

最も大きな影響を受けたというのは、REIT(不動産投資信託)市場です。

REITの取引相場を示す東証REIT指数は、2020年2月21日には2300を超える数字を示していました。REITは2019年からずっと好調な推移を続けており、右肩上がりで数字が上昇していたのです。

しかしアメリカで新型コロナウイルスによる株価の暴落が発生した後、日本のREIT市場も大きな影響を受けました。

2月21日の最高値から1ヶ月未満の3月19日には、東証REIT指数は1100台と、約半分の数字になってしまったのです。

たった一か月で相場が半額にまで減少してしまう。なんとも大きな影響を受けたのが不動産投資信託業界だったのです。

REITとは比較的手堅い投資先だと言われていましたが、実際は株価よりもボラティリティが高く、不況の影響が表れ始めた時には真っ先に売られる対象となっていました。

特に地方銀行が保有していたREITを赤字が拡大する前に売られたことが、ある意味でパニック的なこの相場の暴落を示しています。

その後さすがに割安感が出たのか、REIT市場はやや買い戻しが入っていますが、それでも2020年4月時点では1500程度の数値となっています。

2.ホテルや宿泊施設、観光施設への影響も甚大

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REITと同じく大きな影響を受けているのが、観光業界だと言えるでしょう。

コロナウイルス対策として各国は人間の移動をストップして封じ込めを行っています。

人と人との移動を防ぐことで、互いの感染を防ぎなんとか抑制しようとする目的が、その背景にはあります。

人の移動を抑制することは、観光客の移動も行われなくなってしまいます。

実際に日本でも海外からの帰国者にコロナウイルス感染者が多く、その人たちが日本国内で移動することで感染者を拡大させた結果が分かっています。

そのため、日本では非常に多くの国からの入国を現在制限しています。その影響もあってか、ホテルや宿泊施設、そして観光客向けのスポットの売り上げが大きく減少しているのです。

2020年2月時点の海外からの観光客数は60%減少。3月や4月はさらにそれ以上の大きな減少となっているとの予測があります。

そしてさらにこの影響がどこまで続くのか、まだ誰もがわかる状態ではないのです。

オリンピックが1年間延期されたように、今後1年間は海外からの観光客がほとんど来ない状況が続くかもしれません。

先ほどREITの市場が大きく暴落したと伝えしましたが、REITの中でも特に大きな下落を見せたのがホテルREITです。

ホテルREITはホテルなど宿泊施設の運営利益を投資家に対して分配していきます。しかしホテルの売上は大幅に下落しており、利益がほとんど出ない状況です。REITの価格が下がり、さらに配当金も予定通り配当されなくなる可能性が高いのです。

ホテルや民泊関係の物件を所有する人は、大幅な収入減少によりローンを支払えなくなり、物件を泣く泣く手放さざるを得ない状況になるかもしれません。

そうするとホテルや民泊施設が売却され、相場よりやや安い値段で出回ることも考えられるそうです。

この分野に対し不動産投資を行っていた方は、大変大きな損失をダメージを受けることもありそうです。

3.個人向け賃貸物件は手堅い

不動産関連でも観光関係の物件は、大きな損失を被りそうな先行きです。

一方で対照的に、個人賃貸向け物件の需要は手堅いと言えます。

それは三つの理由が考えられます。

3-1家賃相場は不況の影響を受けない

家賃相場は不況の影響を受けません。家賃は衣食住という、人間の生活の必要な要素のひとつであり、物価と同じような価格の変動を示します。

不況が起きたからといって、例えば生活必需品や食料品が大幅に価格が下落することはありません。もちろん高級マンションのようなある種贅沢品や趣味の品といえる物件であれば、家賃相場が下落する可能性もあります。

しかし、一般的な収入の方向けのワンルームマンションや、ファミリー向け物件の家賃相場が不況の発生により大きく値下がりしたことは、過去の事例をもってしても見当たりません。

そのため居住用マンションの需要は大変手堅いものがあり、かんたんに家賃収入が減少することはないでしょう。

3-2.物件の需要自体も落ち込むことはない

家賃が下がらないことと同様に、物件の自体の需要も落ち込むことはありません。

不況が来たからといって、東京から郊外や実家に引っ越すという人はごくまれです。むしろ引越し代の方がかかってしまうケースが多いでしょう。

会社が都心にある以上。現在の外出自粛が解除されれば、また再度都心まで通勤が始まることになります。確かに一時的に実家や郊外に移転する人はいるかもしれませんが、コロナウイルスの影響が終わった段階でまた会社への通勤が復活します。都心の賃貸需要は十分に見込むことができます。

つまり居住用賃貸物件は、家賃相場も下落しません需要の下落もないという手堅い需要が見込めるのです。

4.融資の緊縮は起こりにくいと考えられる

また不動産相場に投資市場に影響する要素のもう一つと言えば、金融機関からの融資です。

金融機関からの融資が行われないと個人投資家は物件を購入すること困難になってしまいます。

金融機関から融資では、コロナショックを理由にして融資が抑制されることはないと考えられます。

コロナショックに関しては、各金融機関に対し、個人や事業者の資金調達のために融資を積極的に行うようにという、財務大臣の言葉が伝えられています。

リーマンショックの時に金融機関が融資を抑制したことで、数々の企業の連鎖倒産が発生したことを受け、国からも金融機関に対する監視の目が厳しくなっているのです。

そして、金融機関側も融資を行わなければ利益を生み出すことができません。

そのため価格が下落した物件があれば、自己資金を持っていたり、数件の物件の運営実績があれば、金融機関も積極的に融資を行ってくれる可能性が高いです。

ただし質の低い物件や、それまで物件運営実績のない人間、自己資金がほとんどない人間には、これまで同様に、簡単に融資はおりないでしょう。

融資に関しては、スルガ銀行や西京銀行の不正融資で、個人投資家への融資が抑制されている状態が続いています。コロナショックによって大きく状況が変化することはなさそうです。

コロナショックは、不動産投資市場のみならず各方面に多大な影響を及ぼしています。ワクチンが開発されるまで、その影響はなかなか戻らないかもしれません。

しかしそんな状況だからこそ不動産投資は勝手を見出すことができます。

すぐに物件を購入しないにせよ、不動産市場はどうなっているのかの監視は、怠らないようにしましょう。

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