金融機関からローンの融資を受ける時には、オーダーメイド型ローンとパッケージ型ローンという二つの種類のローンを利用することができます。それぞれのパターンのローンの特徴やメリットを知って、自分が不動産投資を行うときにはどちらのローンを利用する方がいいのかを、じっくりと検討できるようになりましょう。
1.オーダーメイド型ローンとは
まずオーダーメイド型ローンとは、どのような特徴を持つローンであるのかを確認しましょう。
1-1.投資家個人向けにカスタマイズできる
オーダーメイド型ローンとは、その名前の通り投資家個人一人一人を対象に、その人の属性や資産を加味してローンを組んでいくことができます。
例えばキャッシュフローは多いけれども、資産がそれほどでもない人は金利期間を短く設定して、一気に返せるように、かつ金利は下げて返済に無理がないようにしていくパターンがあります。その一方で借り入れできる金額はやや抑えめになります。
逆にキャッシュフローは少ないけれども、資産は多く持っているという人は借入の条件はあまり良くないものの、金額を多く借りることができるようにするといった、その個人投資家の状況に応じた内容になっています。
前者の場合、家賃収入を多く見込めるので金融機関にとってはリスクが少なく、返済を短く設定しても資金を回収できる見込みが高くなります。
後者の場合はキャッシュフローが少なく、家賃収入もあまりないので多額のお金を貸すことはリスクがあるのですが、その代わりに担保となる資産もあります。金融機関としては、資産価値が高く確実性のある担保を設定できれば、ある程度の金額を融資してもリスクを抑えられるので、その人に応じた条件を設定しているのです。
個人個人それぞれの属性を見て、どのような条件であればローンを組んでいいのかを、じっくりと相談しながらローンを設定できるのが最大のメリットです。
しっかりと相談できる金融機関相手には、条件交渉をしやすいオーダーメイド型ローンを申し込んでみると良いでしょう。
1-2.融資に時間がかかる
ただしオーダーメイド型ローンは、メリットばかりではありません。先程の例であれば、あまり資産が少なく融資が受けにくいので、多額の担保を設定しなければいけません。そして何よりも最大の欠点は、融資までに時間がかかる点です。金融機関としても貸し倒れはできるだけ起こしたくありませんし、金融機関の担当者も、貸し倒れを発生させてしまうと自分の成績が大幅に悪化してしまいます。
そういった状況を避けるためには、担保価値や購入する物件の資産性などを非常に細かく精査した上で、融資を行うかどうかを決定していくのです。そのためオーダーメイド型ローンは条件を細かく設定するまでの時間がかかりますし、そもそも融資が受けられるかどうかも中々決まりません。最悪の場合には、うまく話が進んでいたのに、決済が下りる直前で、結果がいきなり覆される可能性があります。自分がすぐにでも欲しい物件があった時に、オーダーメイド型ローンの融資を申し込んでも、審査がおりるまでで他の人に物件を購入されてしまったということもよく起こり得ます。急な資金の調達手段としては、あまり向いていないことを知っておきましょう。
1-3.融資を受けるには実績が必要
そしてオーダーメイド型ローンがもう一つの欠点が、誰でもすぐに利用できるわけではないという点です。不動産投資や他の投資としての実績があること、そして金融機関の担当者との長い付き合いがあることが求められてきます。
オーダーメイド型ローンの融資は、金融機関にとってもリスクが高く時間がかかるので一見の顧客に対して融資を行ってくれるものではありません。その金融機関から何度もお金を借り、不動産を購入しているなど実績を持っていることが求められます。ある程度の信頼関係が築けていない場合は、担当者もなかなか取り合ってくれないでしょう。
実績を積み重ねていくためには不動産物件を2~3件程度は購入し、また不動産物件を運営して数年間きちんと家賃収入を得ていることが必要となってきます。
2.パッケージ型ローンとは
ではもう一つのローンの特徴である、融資におけるパッケージ型ローンとはどのような特徴を持っているのでしょうか。
2-1.収入や属性である程度条件が決まっている
パッケージ型ローンも名前の通り、一つの商品(パッケージ)として、ローンの条件が設定されているものになります。金融機関の店頭などや広告に出ている住宅ローン、投資用ローンなどはいわゆるこのパッケージ型ローンに該当します。
オーダーメイド型ローンは投資家個人の特性を見て、細かくどのような条件で融資を行って行くか相談していきますが、パッケージ型ローンはそれほど細かく個人の特性を確認しません。同じ年収一千万円の人間であれば、融資される金額はある程度決まっており、その個人がどういった年齢、職業、また担保を設定できるかなどは、そこまで時間かけてチェックはされないのです。
そのため、オーダーメイド型ローンに比べれば、融資がおりるまでの時間が短いです。すぐにでもローンの融資を受けたい時には、パッケージ型ローンをの方が早く資金を調達できるメリットがあります。
2-2.条件面はあまり交渉できない
一方パッケージ型ローンデメリットとしては、オーダーメイド型ローンと違って条件を細かく設定できない点になってきます。
ある程度融資条件を一定のパッケージ化をすることで、コストダウンや融資までの期間の短縮化を図っています。融資の細かな条件設定を申し込んでも、残念ながら却下されることが多いのです。そのぶん個人の属性を細かくチェックされないメリットがあるので、ある意味では痛し痒しです。投資初心者の場合、基本的にはパッケージ型ローンの融資を受けることになるでしょう。
3.初心者はパッケージ型、投資家を目指すならオーダーメイド型
不動産投資の初心者は、金融機関に融資を申し込みの時は基本的にはパッケージ型ローンの利用しか出来ません。金融機関にとっても得意先の顧客でない人間に、それほどコストをかけることができないからです。
きちんとその金融機関で借り入れを行い、不動産物件の運営実績そして返済実績を築き上げていくことで、始めてオーダーメイド型ローンの利用が可能になっていきます。
ただし、金融機関の担当者、またその金融機関の繁忙期や営業成績によってオーダーメイド型ローンの融資を使ってみませんかという申し出が、金融機関から行われることもあります。金融機関からの融資は、担当者次第という側面があることも否めません。
担当者との付き合いを重視し、信頼関係及び実績をきちんと作っていくことで、好条件で融資が受けられるオーダーメイド型ローンの利用が可能になることもあります。
基本的には融資の内容自体を見ると、オーダーメイド型ローンは、パッケージ型ローンの上位互換と言えます。
専業の不動産投資家を目指して行くのであれば、オーダーメイド型ローンの利用ができるように、積極的に金融機関の担当者に「今回はオーダーメイド型ローンではどうでしょうか」と伝えておくべきでしょう。
ただし、スピード重視で融資を受けたい時にはパッケージ型ローンが便利な時もあります。その二つの使い分けを意識してできるようになっていきましょう。