不動産に黒船来襲?OYOとはどんなサービスなのか

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最近の不動産業界で注目を浴びる会社の一つに、OYOという会社があります。
OYOはインド生まれの会社であり、OYOホテルを展開しています。

日本では2019年の初頭から進出し、孫正義氏から1,600億円の出資を受けるなど話題を呼びました。
OYOがどのようなサービスであり、また、投資の際はどのように利用すれば良いのか、ここではご説明します。

1.住む人にとってのOYOの特徴

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OYOのサービスについて触れる上で、まずは部屋を借りる人と貸す人それぞれの立場で説明する必要があります。最初にOYOで部屋を借りる人のメリットからご説明したいと思います。

1-1.敷金・礼金無しで住み替えが可能

OYOは敷金や礼金などの初期費用を必要とせずに部屋を借りることができます。

通常の賃貸契約を結ぶには敷金や礼金、仲介手数料などが必要ですが、合計すれば家賃の3~4ヵ月分に達します。金額にして数10万円近く掛かりますので、なかなか気軽に引っ越すことができない人もいるのです。

OYOでは、スマートフォンアプリからエリアごとにどういった部屋があるのか、検索できます。そして、希望する部屋が空いていた場合、コンビニエンスストアなどで鍵を受け取った後、わずか30分で新しく部屋を借りることができるサービスなのです。

まさに賃貸物件サービスの革命と言えるでしょう。

1-2. 最初から家具や家電を備え付けている

マンスリーマンションと同じように、OYOの部屋には最初から家具や家電が備え付けられています。そのため、思い立った時に手ぶらで引っ越せます。部屋を借り変える時は、引っ越し代が相当に掛かります。しかし、OYOを利用すれば、好きなタイミングで引っ越しが可能です。加えて、初期費用が不要で実にリーズナブルです。まさに着の身・着のままの状態で引っ越せるのです。

そして、WiFiも最初から使えるため、新たにインターネット回線を契約する必要もありません。

費用面・時間面の双方で、気軽に引越しができるサービスなのです。

1-3.中・短期の滞在に向いている

OYOで部屋を借りる場合、光熱費や通信費などは家賃に全て含まれています。そのため、毎月の家賃は10万円前後からと、やや割高になっています。敷金や礼金などの初期費用が不要である代わりに、OYOは毎月の賃料自体が割高です。

原則としてOYOは1ヵ月から3ヵ月と、短期から中期の滞在を目的としています。

部屋を借りる際に賃貸契約を結ばず、あくまでも滞在の扱いになります。日本の法律では90日以上同じ部屋に住む場合、賃貸契約の締結を求めています。

そのため、OYOで部屋を借りる場合、3ヵ月後は他の部屋に住み替えるケースが多くなるでしょう。

マンスリーマンションと似たサービスのように見て取れますが、マンスリーマンションと比べて一ヵ月あたりの賃料は安くなっています。契約自体も非常に簡単ですので、マンスリーマンションをより手軽かつ身近なものにしたと言えるでしょう。

2.投資家としてOYOを利用する意味

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OYOが提供する部屋は、一般のマンションやアパートをOYOが借り受けた賃貸物件です。
OYOは不動産のオーナーから部屋を借り受け、転貸しています。

不動産のオーナーとしてOYOを利用する意味を考えてみましょう。

2-1.借り上げで家賃収入が安定する

一定期間の一括借り上げ契約による家賃収入の安定こそ、OYOの最大のメリットです。

空室の有無にかかわらずにOYOに部屋を貸すことで、物件のオーナーは契約期間中にOYOから家賃を受け取ります。たとえ空室が発生しても、一定の収入があるので空室を気にする必要がありません。従って、不動産のオーナーには安定した運営が約束されるのです。

また、オーナー自身が客付けをする必要がなく、管理の手間も掛かりません。時間的なコストもほぼ発生しないため、不労所得に近い感覚で収入を得ることができます。

2-2.OYO側がリフォーム費用を負担する

OYOを利用するもう一つのメリットは、同社がリフォームやリノベーションの費用を負担する点です。

OYOはオーナーから借り受けた各部屋に対し、スマートハウス化を進めます。OYOはスマートハウス化を入居者に対するセールスポイントの一つにしています。

スマートスピーカーやスマートセキュリティを導入して付加価値を高め、入居者にアピールします。付加価値を高めるためのリフォームの費用を、不動産のオーナー側が負担する必要がありません。OYOが実費を負担して物件の価値を高めるのです。

OYOとの賃貸契約が終わったとしても、資産価値が高まった部屋が自分の手元に残るのです。

3.OYOを利用する際の注意点

様々なメリットがあるOYOですが、注意点がいくつかあります。不動産オーナーの全てがOYOのサービスを利用できるわけではないことを結論付けた上で、重要なポイントをお伝えします。

3-1.利用できるエリアが限られる

OYOのサービスが受けられるエリアは、東京と大阪、そして、周辺の都道府県に限られます。

ホームページでは、東京と神奈川、埼玉、千葉の一都三県、そして、大阪と兵庫の1府1県となっています。人が集まる都心部などの賃貸物件の需要が高いエリアを除き、OYOのサービスを利用できません。

3-2.物件の条件も限られている

エリアだけではなく、物件の条件も限られます。

築年数や面積、価格帯などの制限がかかります。
基本的にOYOは単身者向けのサービスであるため、現在は2DKなどの広めのファミリー向け用に物件を借り受けていません。

ただし、今後の展開次第では、広めの部屋を借り受けるなどの新たなサービスに乗り出す可能性はあります。

3-3.家賃収入自体は自分で貸すよりも低い

不動産物件を直接運営した時と同様に、OYOに物件を貸すことで収入は安定します。

家賃の相場が75,000円の場合、満室経営で年間の家賃収入は90万円になります。75,000円の部屋を入居者に貸す場合、OYOはおよそ9万円から10万円の家賃を設定します。家賃収入からオーナーの手元には、およそ7万円が入ります。

収入は物件を直接運営した時の90%前後になると思っておきましょう。

ただし、空室が発生しても家賃収入は入ってきますし、広告費などを支払う必要がありません。キャッシュフローで考えれば、OYOが借り受けることでメリットを享受できます。
また精神的な安定が得られるというメリットも大きなものです。

契約期間の終了後の対応を考える

OYOとの契約は、基本的には何年とは決められておらず、平均して2年から5年程度といわれています。契約期間中は稼働状況を見ながら再度の契約が可能なのか、更新時の家賃をどのように設定するかなどを決めていきます。

そのため、OYOとの契約が終わってしまえば、不動産物件を直接運営しなければいけないこともあるのです。
安定した収入がなくなってしまった時に物件をどのように運営するのか、物件ならではの出口戦略も同時に立てましょう。

そうしないと大家としての経験を積むことなく、家賃収入を得ていただけに、急に不動産物件の運営方法について迷ってしまうこともあります。OYOに依存するだけではなく、しっかりと自分の中でも大家業を続けていくための勉強はおろそかにしないようにしましょう。

そうすればあなたの不動産投資業もきっと楽になるでしょう。

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